任意整理は、利息や遅延損害金がカットされる債務整理の手段で、消費者金融やカードローンなど高金利での借金には非常に有効な手段となってきます。
任意整理の一般的な方法は、弁護士に受任してもらい、弁護士を代理人として債権者(借金をしている先、消費者金融など)に交渉するというものです。
しかし、ここでネックになるのが、弁護士を利用すると、弁護士費用も発生してしまうということ。
任意整理を検討しているということは、お金に余裕がないわけですから、できるだけお金をかけずに済ませたいところですね…。
そこで、今回は、任意整理を自分で済ませる方法について確認してみましょう。
手順は、
取引履歴の開示請求⇒利息制限法に引き直し計算⇒債権者に交渉して返済方法を見直し
先に結論を簡単にまとめると、任意整理の手続きはそれなりに難しいのですが、なんとか自分で行う事が可能。
ですが、不利な条件で決着する可能性があるので注意が必要です。
領収書や請求書は保管が基本
いずれの手段で借金をしても、請求書や領収書、返済が滞っているのであれば、督促状などが届けられるかと思います。
任意整理の際には、債務先に取引履歴の開示を求めることになりますが、本来であれば、これらの送られてくる資料も保管した上で、自分が今どの程度の借金をしてどの程度の返済をしているのかを把握しておくのがベストです。
もし、「保管しているはず」という場合は、取引履歴の開示の前に、これらの書類を一通り揃えておきましょう。
また、こういった情報を常に確認しておくという事はとても重要。
「〇〇円は返済したはずだったけど…」
「あといくら返済が必要なんだろう…」
こういった不安感やストレスは、仕事が手に付かない、日常生活でも常に不安感がある、といった事に繋がってしまいます。
また、しっかり把握できていない事が原因で、複数社の借金のうち、1社の返済を意図せず滞納して利息や遅延損害金が多額になってしまった、ということも起こります。
借金は完済するまでが契約なので、お金を借りた後の管理も自分自身でしっかりする事が、計画通りの返済へと繋がるのです。
理想は、これらの資料と、債権者が開示した取引履歴を照らし合わせる事ですが、もし紛失していても、取り寄せた取引履歴だけでも任意整理可能となるので、慌てる必要はありません。
取引履歴を取り寄せる方法
弁護士を通さずに一個人で取引履歴を開示してもらえるのか?という疑問が浮かぶかもしれませんが、
取引履歴開示請求は個人でもさほど手間なく行う事が可能です。
取引履歴の開示請求は、債務先に行うもので、その債務先とあなたのこれまでの取引履歴が分かる資料となります。
つまり、全ての借金の履歴が分かるのではなく、あくまでも企業で管理しているあなたの個人情報のようなものです。
具体的な内容は、
- 契約内容
- 借りた金額
- 借りた年月日
- 返済した金額
- 返済した年月日
といったこと。任意整理では、これらの情報を基に、債権者と交渉をして返済スケジュールを見直すような流れとなります。
ちなみに、平成17年に『取引履歴の開示を求められた場合は、それに応じなくてはならない』という判決が最高裁ででています。
これは、個人に対しても有効なので、基本的に、債権者が取引履歴の開示を拒む事はできません。
また、取引履歴の開示は、債務整理が目的でなくても可能。「これまでの履歴を確認したい」といった理由で取り寄せる事もできます。
では、本題の開示方法を確認してみましょう。方法は2つ。1つは今すぐにでも実行可能です。
1,書面で請求する
裁判所の判決にも出ていますので、多くの貸金業者は取引履歴の開示に協力的です。
そのため、取引履歴開示請求に関するひな形を消費者金融みずから、ホームページ上で用意していることが多くなっています。
まずは、任意整理を予定している消費者金融のホームページにアクセスして、ひな形を探してみましょう。
もし、見つからない場合でも、『取引履歴開示請求 ひな形』と検索してみるとインターネット上には沢山あります。
2,電話で請求する
取引履歴開示請求は書面で行うもの、という情報がネット上で出回っていますが、実は、電話でも請求可能となっています。
方法も簡単で、お客様サポートなど、どんな手段でもいいので任意整理したい企業に電話をして『取引履歴を開示してもらいたい』という旨を伝えて下さい。
そうすることによって、それに対応できる担当部署に繋げてもらえます。
「取引履歴の開示を」と伝えれば十分理解してもらえるかと思いますが、「取引開始時から現在まで全ての履歴が欲しい」と伝えるとより間違いありません。
理由は、「履歴を確認したいので」とでも言っておけばOKです。
ただ、本人確認で、お客様番号(カードに記載されている番号など)や、生年月日などを聞かれる事がありますので、事前に準備しておく必要があります。
また、企業によっては、開示請求の書類が送られてきて、それに必要事項を記入して返送する場合もあります。これは、実質書面で請求する形となりますが、自分で用意する必要がない分、手間もかかりません。
裁判所の判決も出ているので、開示を拒否する企業はまずありませんが、複数回の請求にも応じない場合は、財務局に相談してみましょう。
財務局では行政指導などを行なっていますので、まず、間違いなく開示されるはずです。
ちなみに、取引履歴の保管期間は最終取引日から10年となっています。
任意整理をする場合は、完済前となるので、最終取引日を迎えていませんので、取引履歴がないということはあり得ません。
利息制限法に引き直し計算
取引履歴を取り寄せたら、利息の計算をする必要があります。
開示された取引履歴は、出資法に基づく金利計算をされている事がほとんどなのですが、借りたお金は、出資法ではなく、利息制限法に当てはめて計算しなくてはなりません。
少しややこしいように感じますが、
利息制限法に引き直すソフトも、インターネット上には多数あるので、それらに数字を入力する事で、難なく算出する事が可能です。
債権者と直接交渉
利息制限法に基づく数字がでたら、次にするのは最終段階である、債権者と返済方法の見直し交渉を行います。
任意整理には、利息がカットされるなどの基本的な基準がありますが、これは絶対的なものではなく交渉によって変わります。
例えば、将来分の利息が全てカットされるのではなく数%程度残る場合や、返済期間を5年で交渉したいのに3年しか認めてもらえない場合など(任意整理の返済期間は原則3〜5年)。
交渉の際に、最もポイントになってくるのは「月々いくら程度なら返済可能なのか」ということ。
おそらく、企業側はこの点をしっかりと確認してくるでしょう。そして、少しでも多く返済される方向に進めようとします。貸金を生業としているので当然の事ではありますが、あまり、手の内を見せずに交渉を進めていくというのも重要になってきます。
【例】
元金が300万円の場合
「月々5万円の返済が限度でそれ以上は難しい」
たとえ、それ以上の返済が可能であっても、あえてこのように交渉する事で好条件を引き出せる事もある。月5万円なら、300万円の返済には上限の返済期間5年を必要とする。
この交渉で同意を得られれば任意整理が無事成立ということになります。
個人で行うには様々なハードルがありますが、それでも、実際に個人で任意整理をする人は一定数います。任意整理の弁護士費用はそこまで高くありませんが、少しでも節約したい人はトライしてみるのもありかもしれません。
不利な条件で和解が成立する事も多い
任意整理は個人でも可能という解説をしましたが、その一方で弁護士に代理人を務めてもらう時ほど好条件を引き出せないケースも少なくありません。
任意整理を自分で行うと、裁判所や弁護士は一切関わってきません。そのため、1〜10まで全てを個人で行うことになります。
こういった記事を読む事で基本的な知識は得られるかもしれませんが、相手は、借金問題のプロなので丸め込まれてしまい通常より不利な条件で和解が成立する事が多くなっています。
特に、経過分の利息カットなどは、弁護士を通すと、減額される事がありますが、個人で減額を勝ち取るのは難しい部分があります。あるいは、過払い金が発生していてもうまく取り返せないかもしれません。
任意整理を弁護士に受任してもらうと、それに対する費用もかかりますが、果たしてそれが高くつく費用なのかは微妙なところでしょう。
好条件が引き出せるのであれば、弁護士費用は簡単にペイできるはずです。
私自身がお勧めするのも、個人で行うのではなく、任意整理のプロである弁護士に依頼する方法です。
やはり弁護士の方が間違いないですし、あなたの人生を大きく左右するであろう債務整理では少しでも良い条件を引き出して成立させるべきだと考えられます。
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