任意整理は、利息や遅延損害金などをカットして、月々の支払いを見直し3〜5年かけて返済する方法です。
そのため、債務の金額によって毎月の返済額が変わるので『任意整理=毎月〇〇円返済する』という決まった数字はありません。
利息分の支払いがなくなるので、これまでよりも総返済額は減ることになりますが、注意したいのは、総返済額は減るものの月々の返済額は増えてしまう例もあるという事です。
具体的な支払い例
任意整理では利息分がカットされるので、毎月の返済額を計算するのも難しくありません。
こちらでは、『債務額×支払期間』でそれぞれの月々の返済額を算出しました。
四捨五入などを利用しているので1円単位で正確というわけではありませんが、ご自身の債務額と照らし合わせて確認してみて下さい。
債務\返済期間 | 36ヶ月(3年) | 48ヶ月(4年) | 60ヶ月(5年) |
100万円 | 約28,000円 | 約21,000円 | 約17,000円 |
150万円 | 約42,000円 | 約31,000円 | 約25,000円 |
200万円 | 約56,000円 | 約42,000円 | 約34,000円 |
250万円 | 約70,000円 | 約52,000円 | 約42,000円 |
300万円 | 約84,000円 | 約63,000円 | 約50,000円 |
350万円 | 約98,000円 | 約72,000円 | 約59,000円 |
400万円 | 約111,000円 | 約84,000円 | 約67,000円 |
450万円 | 約125,000円 | 約94,000円 | 約75,000円 |
500万円 | 約139,000円 | 約104,000円 | 約84,000円 |
返済が難しいために任意整理をすることになるので、「今現在より月々の返済が減るのか」という事が重要になってくるかと思います。
任意整理で月々の返済が減るには、
- もともとの返済期間が短いこと(5年未満など)
- 金利が高いこと
これら2点が関わってきます。
任意整理では返済期間が原則として3〜5年です。5年以上に変更するという事は基本的にありません。
そのため、これまでの返済期間が10年以上だった場合などは、任意整理をして返済期間を3〜5年にしてしまうと、利息がカットされるとはいえ、これまで以上に負担の大きい月々の返済額になってしまう可能性は十分考えられます。
例えば、
金利18%で200万円借り入れ、10年かけて返済する場合
月々の返済額は『36,037円』となります(総返済額4,324,293円)。
一方、任意整理で利息をカットしたとしても、
3年で返済する場合は月々『約56,000円』、4年の場合は月々『約42,000円』となります。
任意整理をすることによって総返済額は減る事になりますが、月々の返済は増えてしまう可能性が考えられるのです。
また、もともとが低金利である場合も、任意整理のメリットはほとんどありません。
任意整理は、利息のカット等があるものの元金の返済は必要とするため、低金利の借り入れに対してはあまり効力を発揮できないのです。
そのため、任意整理が有効になるのは、
- 消費者金融
- カードローン
- クレジットカードのキャッシング枠
などの比較的高金利の借金となっています。
消費者金融やキャッシングは基本的に返済期間が最大5年
先程は、高金利の10年返済というかなり極端な例で説明しましたが、基本的に高金利での借金は5年以内の返済期間となっている事がほとんどです。
これは、日本貸金業協会の自主規制によるもので、仮に最低額のリボ払いでキャッシングしたとしても返済期間は5年になる仕組みとなっています。
そのため、高金利の借金に対しては、任意整理が有効である事がほとんどです。
ただし、クレジットカードのショッピング枠は『貸金』とは少し仕組みが異なるので、自主規制のルールも適用外となります。
そのため、極端に低いリボ払いが設定されており、長期的な返済を必要としている場合は、任意整理をしても月々の返済が減らない可能性があります。
これは、かなり特殊な例ですが、確実に月々の返済が減る訳ではないので弁護士と相談しながら進めるようにしましょう。
任意整理の和解条件は業者によって異なる
任意整理は、弁護士などの代理人が債権者(銀行や消費者金融など)に直接交渉をして同意を得て成立します。そのため、法律上は『和解』という解釈がされています。
強制力はないため、時には交渉が決裂する事もありますし、裁判を起こされる可能性もゼロではありません。
ただ、『元金を返済する』という債権者側にも悪くない条件で交渉するので、多くの場合は和解が成立すると考えて間違いないでしょう。
しかし、和解の条件は業者によって異なってくるので注意が必要です。
例えば、
「5年間の返済期間で毎月5万円なら返済できる」
という希望を持っていても、債権者側の出す条件は、
「任意整理には応じるけど返済期間は4年までしか認めない」
と、思惑通りにいかないかもしれません。
個人再生や自己破産は裁判所を通すなど法的効力を持っているため強制的に成立しますが、任意整理はあくまでも和解なので、こちらの言い分が通るとは限らないということです。
【返済期間は実質社内規定で決まる事も多い】
- A社は60回払いまでOK
- B社は48回払いまでOK
- C社は36回払いが限界
任意整理は原則として3〜5年の期間で返済するので支払い期間が36回以下で交渉される事はありません。
ただし、ほとんどの消費者金融やクレジットカード会社、カードローンでは、48回払いや60回払いを認めています。
ギリギリの返済は危険
「60回払いならギリギリ返済できる…」
もし、60回払いがギリギリできても、それによって生活が厳しくなるようではあまり任意整理をおすすめする事はできません。
5年という長い期間、その状態を保つのはとても大変な事です。
不景気で給料が大幅に下がってしまうなど一つの要因で再び返済が困難になってしまうかもしれません。
このようなケースでは、本当に任意整理が正しい手段なのか考え直す必要があります。
任意整理を弁護士に相談すると、最初に聞かれるのは「月々いくらなら返済が可能か」という事です。
収入を証明できる書類や、月々の生活費を確認される事はほとんどありません。
自己申告の返済可能な金額をベースに交渉が進んでいく事になるのです。
また、交渉次第では最終的にその希望額を僅かに上回ってしまう事もあります。
そのため、弁護士に可能な月々の返済額を確認された段階で無理のない返済額を伝える事が重要になってきます。
見栄を張って少し無理のある返済額を伝える人も少なくないとされています(あるいは、返済の義務感から大きな金額を言ってしまうようです)。
『任意整理は無理なく借金を返済する為の一つの手段』なので、これでは本末転倒です。
素直に返済可能な金額を伝える必要があります。
弁護士とよく相談をして、任意整理の選択が難しい場合は個人再生や自己破産を視野に入れるようにしましょう。
任意整理は最終的に和解できる可能性が大
「任意整理が成立するのだろうか…」
任意整理をする前や任意整理中には、このように不安な心理になってしまうかと思います。
しかし、その点はそれほど心配する必要はありません。元金を3〜5年で返済できるのであれば、ほとんどのケースで和解が成立します。
仮に、ギャンブルなどが理由の借金であってもなんら問題ありません。そもそも借金の理由を確認される事もありません。
彼らにとって重要なのは、
- いつまでに返済されるのか
- いくら返済されるのか
という事です。
「借金の理由が良くない!」といった部分は二の次で、元金の返済がされるという最低限の部分がクリアできれば問題ないのです。
それに、もし任意整理に同意しなければ、いずれにしても返済が困難な状況なので個人再生や自己破産などより強力な債務整理をされてしまいます。
ちなみに、個人再生は債務が5分の1に減額され、自己破産は全額免責となります。さらに法的機関を通すので同意に関係なく強制的効力を持っています。
任意整理に同意しなかった場合、より損失が大きくなってしまうという事です。
例外的に裁判になる場合も
モビットなど、一部の消費者金融は、任意整理で納得のいく内容を提示されないと同意に応じず訴訟を提起する場合があります。
ただし、これは良い条件の和解を引き出すための行動で、任意整理に応じないためではありません。
通常の任意整理は、
- 経過分の利息免除
- 今後の利息カット
- 返済を3〜5年に見直し
これらが交渉されることになります。そして、多くの業者はこの条件をのんで和解が成立します。
しかし、手間と費用をかけて裁判を起こした場合は、基本的に『今後の利息カット』と『返済を3〜5年に見直し』は認められるものの、『過去分の利息免除』は認められない判断をされます。
また、裁判上の和解は公的な和解調書となるため法的効力を持っています。
かかる手間と費用ほどのメリットはないと判断する業者が多いので、ほとんどのケースで裁判をせずに和解が成立しますが、一部の消費者金融はこれらのメリットを得る事が社内規定となっている場合などもあり、任意整理の交渉が3ヶ月ほど経過した地点で裁判を起こす事があるのです。
あくまでも和解を前提とした裁判ではありますが、裁判を起こされると家族にバレるなどデメリットがある人も少なくないかと思います。
裁判にならない方法はこちらの記事を参考にしてみて下さい⇒任意整理で裁判が起きる理由と裁判にしない方法
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