任意整理を利用する人は年間200万人というデータもあり、自己破産の10万人に比べるとかなり多くの人が利用しています。
年間200万人…、これはなかなかの数字ですね。1日あたりでは5,000人以上が利用している計算に。
さて、そんな比較的手軽に利用できる印象の任意整理ですが、“誰でも”利用できる手続きということになるのでしょうか?
先に結論を言うと、任意整理は基本的に誰でも利用できる債務整理ですが、一定の条件を満たしていないと、弁護士に受任を断わられてしまう可能性もあります。
今回は、任意整理を利用できる条件について確認してみましょう。
まずは、任意整理の基本的な仕組みと効力を確認
任意整理以外の債務整理は、裁判所に申立をして手続きを進めますが、任意整理は債権者に直接、任意整理の申し出をして手続きを進める事になります。
そのため、返済の苦しい借金のみを選んで整理する事が可能。
ちなみに、個人再生の場合は、住宅ローンのみ除外が認められるけど、その他の借金は知人・友人から借りているお金や自動車ローンなど生活に必要なローンも整理する事になる。
自己破産に至っては、住宅ローンも含めて全ての借金が整理の対象。
これが、一つ目の任意整理が選ばれやすい理由と言えるよ。
任意整理の基本的な効力は、利息や遅延損害金をカットして返済期間を3〜5年で見直すというもの。
そのため、消費者金融やクレジットカード・カードローンなど高金利の借金に有効な手段となります。
仮に、抱えている借金が低金利である場合は、任意整理が適切な方法とはならないケースも増えてくるでしょう。
任意整理に必要な期間は3ヶ月〜半年ほどで、任意整理開始と同時に返済義務もストップし取り立てがされなくなります。
そして、交渉をして、双方が納得できる条件が揃えば『和解』が成立し任意整理後の返済がスタートします。
返済再開後は基本的に利息が全てカットされるので、残っている元金だけを分割払いしていくようなイメージです。
仮に、200万円を年15%で借りて5年返済する場合。
月々の返済額は47,579円で、返済総額は2,854,770円、利息だけでも854,770円支払う事に。
任意整理をすると、利息がカットされるので返済総額は200万円で、利息の854,770円は支払う必要がありません。
月々の返済額も33,333円で、1万5千円ほど少なく済みます。
任意整理の交渉中は返済がストップするし、その後の月々の返済も少なく済む。
任意整理は、効力が大きくないように感じるかもしれないけど、両方の効果で十分な金銭的メリットを受けられるんだ。
一方、他の債務整理の場合、個人再生は借金が5分の1(借金の金額による)に、自己破産は借金が全てチャラになりますが、
その分、デメリットも大きく、借金を選んでの整理ができずに車等、担保になっているものを失ったり、自己破産に至っては換価処分(処分で得たお金が債権者に分配される)によって住宅や時価20万円以上の価値がある有価証券や返戻金のある生命保険、預金などを手放さなくてはなりません。
以上の効力等の違いから、任意整理の魅力は、効力がある程度あって、なおかつデメリットが少なく利用できるという部分になるでしょう。
任意整理を利用できる条件は?大前提として…
任意整理は、自分自身で直接債権者に交渉する事も可能ですが、多くの場合、弁護士を代理人として手続きを進める事になります。
弁護士に依頼した場合は、弁護士費用も必要としますが、任意整理の弁護士費用はそこまで高額でないうえ、交渉によって決まる任意整理においては交渉に慣れている弁護士に任せた方が好条件になる事が多いです。
そのため、弁護士費用を支払っても最終的な金銭メリットは弁護士を代理人とした方が大きくなることが多くなっています。
具体的には、経過分の利息カットや遅延損害金のカット、あるいは返済期間などで弁護士を間に入れた方が好条件になる事が多い。
任意整理を上手く利用するには弁護士を間にいれるのが重要だよ。
それでは、どういった部分で任意整理が利用できなくなるのか確認してみましょう。
無職・無収入、返済能力が無いと判断された場合
弁護士に依頼する場合、源泉徴収票を確認するまでの作業をすることは殆どありませんが、それでも収入の有無は確認されます。
理由は、任意整理後の返済能力を知るためです。
無収入で返済の見込みがたたない人の代理人と務めてしまうと、その後、結局返済が滞り、債権者側にも迷惑をかける結果となります。
間に入って交渉を担当する以上、一定の責任がありますので、最低限の収入が確認され、それを満たしていない場合は、断られる結果となります。
目安となるのは、生活費にプラスしてどの程度の余裕があるのかということ。
多くの場合で、任意整理後の返済は5万円前後、あるいはもう少し少ない金額です。
それを返済していくだけの収入があれば金銭面で断られることもないでしょう。
ちなみに、収入源は正社員である必要はありません。アルバイト等でも構いませんので、現在収入がない人は、まず働くようにしましょう。
借金が大きすぎる場合
収入に対して借金が大きすぎる場合は、やはり返済能力が疑われ受任してもらえません。あるいは、他の債務整理を勧められます。
逆に、収入が十分ある中で高額な借金を抱えている場合は、500万円の借金でも、1,000万円の借金でも任意整理する事は可能。
個人再生には5,000万円までという上限がありますが、任意整理には特に上限が定められていないのです。
そもそも任意整理に応じない企業もある
多くの企業が任意整理の交渉に応じますが、ごく稀に応じないケースもあります。
具体的には、過去にもその企業を相手に任意整理をしている場合や、既に貸金業をやめて、債権の回収作業だけをしている場合です。
後者の場合は、古い借金である事も多く、場合によっては時効が成立しています。
その場合は、返済する必要もないので、時効の手続きをするために弁護士に相談するようにしましょう。
思うような条件を引き出せない場合
任意整理が利用できない原因は、なにも債権者や弁護士の都合だけではありません。
時には、自分が思うような条件が引き出せずに、任意整理を申し出た本人が任意整理を中断するケースもあります。
例えば、返済期間は3〜5年ですが、交渉によって決まるので、希望が5年返済でも、債権者側は3年しか認めないかもしれません。
そうなると、毎月の返済額も大きく変わってきますね。
もし、思うように交渉できず、任意整理後の返済が難しいようなら、途中で個人再生などに切り替えるしかありません。
こういった事情から、任意整理を自ら不成立にするケースもあるのです。
任意整理の成功率
任意整理の成功率はおおよそ8割程度。
※裁判所を通さないため正確な統計はない
多くの場合は、和解が成立する事になります。⇒成功率を詳しく確認
ただし、任意整理が本当の意味で成功するのは返済が終了した時です。和解までは高確率で成功するものの、その後の返済が滞ってしまい任意整理が完了しない、というケースも少なくありません。
ちなみに、任意整理後の返済が滞ると3ヶ月後には、期限の利益の喪失となり、実質、任意整理は無効で一括での請求がされることになります。
その後、再び分割に応じてもらえる保証はありませんので、結局、個人再生や自己破産に繋がってしまうことも…。
そうならないためには、計画性をもって、万が一、収入が途絶えても数ヶ月は返済を続けられる程度の余裕を持つことが重要です。
最後に
以上が任意整理を利用できる条件についてです。
おそらく、多くの人が任意整理を利用できる条件を満たしているのではないでしょうか?
もし、無収入の場合は、アルバイトでも構いませんので始めるようにしましょう。⇒無収入で任意整理が利用できるケースも
また、いずれにしても今現在借金で悩んでいる状況かと思いますので、まずは弁護士に相談する事も重要です。
任意整理が有効になってくるのかなど、借金のプロの立場から適切なアドバイスをもらえるはずです。
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