任意整理は、債務整理の一つの方法ですが、自己破産や個人再生などその他の債務整理に比べて、比較的、返済能力がある場合に適用されます。
そのため、債務整理をした事によるダメージ(デメリット)も少なく済み、最も簡単で敷居の低い方法とされています。
任意整理の特徴
任意整理の最大の特徴は、裁判所など法的機関を通す必要がないという事。
自己破産や個人再生は裁判所を通し裁判官の判断によって状況が決まってきますが、任意整理の場合は、弁護士などの代理人が、債権者(カードローン会社や消費者金融など)に直接交渉をして、
- 支払い方法の変更(毎月の支払額など)
- 利息のカット
- 遅延損害金のカット
などを合意して成立させます。
債務整理の中で最も多く使われる方法がこの任意整理です。
基本的に源泉徴収票を出す事もない
任意整理は、弁護士などに相談をして手続きを進めていく事になりますが、最初に聞かれるのは、
「毎月いくらまでなら返済可能ですか??」
という事です。
イメージ的には、収入を正確に把握して作業が進みそうなものですが、多くの場合、源泉徴収票の提出や収入を証明するものを求められる事はありません。
返済可能な金額を自己申告で確認して、それを基に返済方法を決めていくというのが実務の流れとなります。
任意整理のメリットは大きい
利息カットの効果
任意整理は支払い方法の変更などがあるものの、基本的に借金の元金が減るわけではありません。
『借りたお金は返す』という考えのもとで手続きが進められます。
「じゃあ、あまり状況が変わらないのでは…」
と心配になりますが、
利息が無くなるだけでもその効果はとても大きいものがあります。
おそらく、借金で返済が困難な状況になっている人は、消費者金融やカードローンなど金利が18%ほどの高い方法で借金をしているかと思います。
仮に、200万円のお金を金利18%、毎月5万円の返済で借りたとしましょう。
その場合、最終的な支払額は3,077,200円となり、実に100万円以上の利息を支払う事に。また、返済期間も5年2ヶ月におよびます。
金利の恐ろしさがご理解いただけるでしょうか?
元金の1.5倍以上の支払いとなっていますね。
金利をカットするだけでも、支払額がぐっと減る事に繋がり、無理のない返済が可能となっていくのです。
おそらく、任意整理を検討している人は借金の額も200万円以上となるでしょう。
当然、金額が多いほど利息で支払うお金も多くなります。
誰にもばれずに借金問題が解決できる事も
任意整理をする場合、基本的に代理人となる弁護士や司法書士、そして、債権者(消費者金融など)しか、手続きに関与しません。
つまり、代理人と当事者のみという事です。
一方で法的機関を通す手続きでは裁判官だけでなく、さまざまな“第三者”に『債務整理をする』という事が把握されてしまいます。
また、任意整理の特徴として、保証人付きの債務は除外して債務整理可能というものがあります。
債務整理をすると、保証人を立てている借金は保証人に支払い義務が生じてしまいますが、この制度を利用すると、保証人の支払い義務は生じません。
もちろん、除外した借金は任意整理されないので返済額は同じままとなりますが、それでも「身内にバレたくない」「迷惑をかけたくない」という場合には有効な手段となるはずです。
また、保証人を立てている借金の額が大きい場合は、その借金も任意整理せざるを得ない状況となりますが、保証人と連名で任意整理する事も可能です。
その場合は、保証人も借金支払い義務がなくなります。
ただし、連名で任意整理をした場合は、保証人の信用情報にも事故情報(ブラックリストに載る※後述で解説)が残るので注意しましょう。
家を失う心配がない
「住宅ローンを組んでいる場合、住宅を手放す必要があるのでは?」
あるいは、「借金が減る代わりに資産を処分する必要があるのでは?」
債務整理をした場合にはこういった事が心配になるかと思いますが、任意整理では基本的に資産を手放すような事はありません。
住宅ローンを組んでいる場合は、それを除外して任意整理可能となりますし、住宅ローンを組んでいない持ち家でも処分の対象になりません。
また、有価証券や返戻金のある生命保険などを解約する必要もありません。
借金が全額免責となる自己破産をした場合は、容赦なく家は処分の対象となりますし、時価20万円以上の価値がある車や有価証券、生命保険は手放さなくてはなりませんが、任意整理は基本的に借金の元金を返済する債務整理なので資産を処分するほどのリスクを負わないのです。
任意整理のデメリットは?
任意整理も債務整理扱いのため、デメリットも伴います。こちらもしっかり確認しておきましょう。
事故情報が残る
任意整理も、個人再生や自己破産と同じく、信用情報に事故情報が残る事になります。
任意整理も、元金を返済するとはいえ、契約通りの返済ができなかったという扱いになる。
ブラックリストと言われる事も多い。
金融機関からの借り入れや、ローン、あるいはクレジットカードの審査などは全てこの信用情報を基に進められるため、5年〜10年は借金やカードの作成はできないものと考えて下さい。
ただし、事故情報は5年で消える仕組みとなっているので一生背負っていくものではありません。
ちなみに、事故情報は個人に残るものなので、子供など家族の信用情報には影響を与えません。
返済額は減るけどあくまでも返済が必要
前項にもあるように、基本的に支払い方法の変更や利息がカットされるのみで、元金は減りません。
そのため、元金の返済も難しいという場合は、任意整理ではなく、個人再生や自己破産をすることになります。
ただし、先ほどメリットにあったように任意整理のメリットはとても大きいので、元金を返済する必要があるとしてもできるだけ任意整理で済ませておきたいところです。
一方で、個人再生や自己破産は、債権者の同意がなくても裁判所の判断で成立します。
過払い金の請求も同時にできる
テレビCMなどで多く見かける『過払い金』ですが、任意整理をした場合もこの過払い金請求を行う事になります。
借り入れをしたタイミング、金額、これまでの返済額によっては、過払い金で借金をゼロにできるという例も少なくありません。
過払い金
消費者金融などは民法上無効でも刑事罰にならない『グレーゾーン金利』を使って利息制限法の上限を超えた金利を設定していました。
そのため、“利息を払いすぎている状態”となっているのです。
そして、それを取り戻す作業が『過払い金請求』となります。
過払い金の請求は信用情報に事故情報が残る事がありません(あくまでも支払い過ぎたお金を取り戻す作業)ので、実質無傷で借金問題が解決するかもしれません。
任意整理の流れ
任意整理は、手間のかかる作業のように感じますが、基本的に弁護士や司法書士が全て代行してくれるのでほとんど手間もかからないカンタン作業となります。
ステップ1 まずは、弁護士・司法書士に相談
弁護士や司法書士を通して手続きを進めるので、窓口は法律事務所です。
流れとしては、最初に電話やメールで相談をして、その後、実際に法律事務所に行く事になります。
もし、「知人にバレたくない…」という事でしたら少し離れた法律事務所を利用するのもありでしょう。
また、多くの法律事務所では、相談のみなら無料で対応しています。助言をもらうだけでも大きな手助けとなるかもしれません。
ステップ2 最適な債務整理の選択
弁護士と相談しながら、あなたの状況に合った債務整理が選択されます。
借金の返済が不可能と判断されれば=自己破産
一定の額なら返済可能=個人再生
元金の返済が可能=任意整理
この地点で、借金問題はその法律事務所が受任した事になるので、債権者にはその旨が伝えられ、督促や取り立てを受ける事がなくなります。
ステップ3 過払い金の請求
依頼後、最初に行われるのは先ほどの過払い金請求です。
消費者金融やカードローン会社は、これまでの取引内容(返済額等)を保管しているのでそれを法律事務所が取り寄せ適切な金額を取り戻します。
過払い金の額によっては、この地点で借金問題も解決です。
ステップ4 月々の返済額を決定
続いて、毎月の返済額がきまります。
前項にもあるように、基本的に自己申告を基に毎月の返済額が決められます。
【返済可能かの目安】
任意整理は債権者(消費者金融等)との合意の上で成り立つため、返済額が少な過ぎると成り立ちません。
そのため、“利息をカットしたうえで、3年間の間に返済可能かどうか”という事が基準になることが多くなっています。
もし、3年以上かかるようであれば、任意整理が成り立たず個人再生などの選択肢になってしまうかもしれません。
以上が基本的な任意整理の流れとなります。
依頼者の手間は、法律事務所に相談に行く程度で、それ以外の手続きは全て代理してもらえるという事です。
任意整理はいくらかかる?相場は?
任意整理の報酬は法律事務所によって大きく変わってきますが、一般的に目安とされる金額は、
報酬・・・1社につき2万円〜
過払い金・・・戻ってきたお金の20%ほど
任意整理をすることによる金銭的メリットと、これらの報酬のバランスが取れる場合は、任意整理をする価値があるという事になります。
ただ、任意整理を必要とするような状況では、金利の支払いだけでも、何十万円、多い時は何百万円にもなっているはずです。
そのため、これらの報酬額を支払っても十分金銭的メリットが大きいという事になるでしょう。
また、金銭的に困った状態で相談に行くわけですから、多くの法律事務所ではその状況を加味して、報酬の分割払いや後払いが出来るようになっています。
そのため、法律事務所への報酬によって生活苦になるような事はありません。
個人での任意整理は現実的ではない。まずは相談を!
「報酬は支払いたくないし自分で任意整理したい」という人もいるかもしれません。
確かに、任意整理は必ずしも弁護士を通す必要はありません。
しかし、法的機関を通して手続きをするわけではないので、個人でやる場合は、金融機関と直接交渉する事になります。
そして、相手は借金問題のプロとなるので、思うような結果を得る事はまず出来ないでしょう。
そのため、借金で苦しんで返済が困難な場合は、まず最初に、弁護士や司法書士に相談する事がスタートラインとなります。
前項のように、相談は無料となっている事が多いですし、最終的に債務整理をせずに済む事も少なくありません。
『借金は時間との勝負』という事が言われますが、まさにその通りで、返済できる額より利息が上回っているような場合は、状況が悪化する一方です。
そして、任意整理で済んだものが自己破産せざるを得ない状況になってしまうかもしれません。
まずは、一歩踏み出し相談してみましょう。
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