バイクの価格は車種によりさまざま。中には自動車より高いバイクも多くあります。
そのため、多額の支払いをローンで行うケースも少なくないでしょう。
しかし、支払いが高額なため、ローンの返済が滞ってしまうケースや返済が難しくなるケースも…。
そんな時に検討するのが『債務整理』となりますが、ここで浮かぶ疑問が、
「債務整理をすると、せっかく購入したバイクを手放す事になるのでは?」
という事。
結論を言うと、債務整理のやり方によって、手放すケースと、手放さずに済むケースの両方があります。
具体的な方法を確認して、ご自身に合った方法を検討してみましょう。
所有者の名義を確認
「バイクローンを債務整理するとバイクを処分される」
というイメージが強いかと思います。確かに、バイクローンを債務整理すると、バイクをローン会社に引き上げられてしまう可能性があるのは事実です。
ただ、これは『バイクの所有者が誰になっているのか』という事によって状況が大きく変わってきます。
所有者がローン会社・・・債務整理をすると引き渡す必要がある
所有者が自分自身・・・多くの債務整理で手放す必要がない
バイクの所有者は現在手元にある書類で確認可能です。
- 排気量125cc以下・・・標識交付証明書
- 〜250cc・・・軽自動車届出済証
- 250cc〜・・・自動車検査証
所有者が把握できていない場合は、排気量に応じてこれらの書類を確認してみて下さい。
傾向としては、
ディーラーで契約したローンは信託会社でローンを組む事が多く、所有者が信託会社になっている。
銀行でローンを組んだ場合は、所有者が購入者になっている場合もある。
所有者が信託会社になる理由
信託会社でローンを組んでいる場合は、原則としてローンを支払い終えるまでの間、所有者が信託会社となります。
これは『所有権留保』と呼ばれるもので、ローンが支払われなかった時に信託会社に所有権のあるバイクを売る事によってローンの穴埋めがされる、言うなれば信託会社の保険のような仕組みです。
信託会社のローン(ディーラーで組むローン)は、比較的審査が緩いとされますが、このように債権を回収できる仕組みをとっているために審査の基準が低めに設定されているのです。
そのため、債務整理をした場合も、契約通りの返済がされなくなるので、担保となるバイクは引き上げられ売却される事になります。
このような仕組みから、所有権が信託会社になっているうちはバイクローンを直接債務整理するとバイクを手放す事になる可能性が高いと言えるでしょう。
なお、ローン返済中でも所有者が自分自身になっている場合は、バイクローンを債務整理してもバイクを処分される事はありません。
※所有者が自分自身でも自己破産の場合は手放す可能性がある(後述で説明)
債務整理の種類と債務整理でバイクを残す方法
債務整理には、
- 任意整理・・・利息をカットして元金を3〜5年で返済
- 個人再生・・・債務を5分の1に減額して返済
- 自己破産・・・債務が全額免責
これらの3種類がありますが、効力が異なる分、バイクに与える影響も異なってきます。
一つ一つ確認してみましょう。
任意整理とバイクローン
任意整理は、裁判所を通さず、弁護士など代理人が債権者(銀行や消費者金融、信託会社など)に直接交渉をして同意を得て成立します(法律上は和解)。
このような仕組みのため、債務先を選択して整理できるという他の債務整理にはないメリットを持っています。
そのため、バイク以外の借金を任意整理することでバイクローンの返済ができるようであれば、かなり有効な手段となるでしょう。
また、消費者金融などから借金をして、そのお金でバイクローンを支払い、その上で、消費者金融の借金を任意整理するという事も可能です。
あまり良い方法ではありませんが、この方法ならバイクローンを支払える上、任意整理をしてもバイクを手放す必要はありません。
任意整理の特徴の一つに『借金の理由は重視されない(確認されない)』という部分があります。
債権者にとって重要なのは「いつまでに返済されるのか」「いくらなら返済可能なのか」という事。バイクローンの返済はもちろんのこと、ギャンブルや浪費などが理由でもなんら問題ありません(同意を得られるかは交渉次第ですが、ほとんどのケースで成立する)。
ただし、基本的に元金の返済を必要とするので、元金の返済が3〜5年以内にできるのかが任意整理を利用できる分岐点になってきます。
個人再生とバイクローン
個人再生は、裁判所に申立をして手続きを進めます。
住宅ローンのみ除外が認められていますが、それ以外の債務は全て個人再生の対象です。そのため、バイクローンが残っていて所有権が信託会社になっている場合はバイクを手放さなくてはなりません。
ここで気になるのは、任意整理と同じように消費者金融などから借金をしてバイクローンを返済した上で個人再生をすればバイクを手放さずに債務整理可能なのでは?ということ。
確かに、自己破産と異なりローンのない財産を裁判所に処分される事はないので理屈的にはバイクを残せる可能性が高くなりますが、
『財産隠し』に該当してしまう可能性があるので専門家(弁護士)と相談して慎重に進めた方がいいでしょう。
個人再生では、債務が5分の1になりますが、それ以上の価値がある財産を持っている場合は、その金額を支払わなくてはなりません。
※例えば、バイクの価値が200万円で、債務を5分の1にした額より大きい場合は200万円の支払いが必要
このような仕組みから、個人再生前に車など価値のあるものの名義変更をして財産隠しをする人がいますが、確実にバレます。
もし、名義変更するのであれば明確な理由が必要。借金の返済ができない中で名義を変えるという行為は、債権者や裁判所が許すわけもありません。
稀に、弁護士に相談する前に名義を変える人がいますが、これは自身の立場を不利にするだけです。
弁護士はその事実に気づけないので、後々裁判所で名義隠しが発覚することになるでしょう。そして、名義隠しが発覚しても弁護士は守ってくれません。そもそも、守るす術もない状況です。
自己破産とバイクローン
自己破産も裁判所に申立をして手続きをする方法で、例外なく全ての借金が整理の対象となります。※悪質な場合は免責が不許可になる事もある
そのため、バイクローンを組んでいて、所有者が信託会社になっている場合は信託会社にバイクを引き渡さなくてはなりません。
さらに、自己破産ではローンが無くてもバイクが換価処分の対象となります。
具体的には、処分見込額が20万円以上になると裁判所に没収され処分される事になります。バイクは換価基準に含まれていませんが、自動車と同じように扱われるのが通常です。
そのため、ローンを組む高額なバイクは時価20万円以上である可能性が高いので、ローンのあるなしに関わらず処分する流れとなってしまうでしょう。
『バイクを手放さずに債務整理する』という事を前提に考えるのであれば自己破産は避けたいところです。
そもそも、自己破産は、個人再生を利用した5分の1の返済も困難な人が利用する方法なので、債務も桁違いに高額である事がほとんどです。そのため、連帯保証人や事業に失敗するなどで多額の借金がある場合に多く選択されます。
いずれの債務整理でも暫く新たなローンは組めない
「バイクを処分されても、また買い直せばいい」
と考えたいところですが、債務整理をすると信用情報に事故情報が残るので新たにローンを組む事ができなくなります。いわゆる、ブラックリストです。
ブラックリストになると、ローンだけでなく、融資や消費者金融、クレジットカードなど、全てのお金を借りる方法で審査に通らなくなります。
これは、契約通りの返済ができなくなった過去を持っているので仕方のないこと。債務整理をして債務が減額もしくは無くなったのに、再び借金をしてバイクを買えるようでは矛盾してしまいますからね…。
ただし、事故情報は一定の期間で消える仕組みとなっています。信用情報を取り扱う機関によって異なりますが、事故情報が消えるまでの期間は5〜10年。
事故情報が消えた後は、従来通り審査されることになり、ローンを組む事が可能になります。
事故情報が残っている間にローンを組むには
事故情報が残っている間にローンを組む事への是非はありますが、時には、債務整理後5年以内であってもローンを必要とする場面があるかもしれません。
そのような場合には、理解を得た上で配偶者や親の名義でローンを組むというのが有効になってきます。
信用情報の事故情報は、債務整理をした個人に対して残るので、配偶者や親の個人情報には影響を与えません。
そのため、配偶者や親に一定の収入があり、尚且つ、親や配偶者が過去に事故情報が残るような事をしていない限りはローンを問題なく組む事ができます。
ただし、一度、債務整理をしている場合は、親族とはいえ、少なからず名義を貸してローンを組む事に不安を感じてしまうものです。
充分な理解を得て、ローン分を返済する事を書面に残し、滞りなく返済するようにしましょう。そうしないと近い身内でも関係性にヒビが入ってしまうかもしれません。
いずれにしてもまずは相談を
「バイクを残して債務整理するには、どの方法がベストなのか?」
バイクローンにはバイクの所有者がローン会社になる所有権留保という問題があるので解釈がややこしくなりますし、正しい判断を自分自身でするのは困難な部分があります。
ポイントは、自分の判断で行動し過ぎない事。良かれと思った事が所得隠しと判断されてしまうかもしれません。
おそらく、多くの人は、バイクのローン返済だけで生活が圧迫しているのではなく他にも大きな借金があるかと思います。
どういった手段を取るのが最善なのか?まずは、借金問題のプロである法律事務所に相談するようにしましょう。
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