任意整理といえば『個人』が行う事と思われがちですが、法人でも任意整理は可能です。
近年では大企業とされるような会社でも、経営状態が悪化して大規模なリストラを行うような事が頻繁に起きていますし、その影響を大きく受けてしまう下支えしている中小企業でも資金繰りが上手くいかずに、経営が成り立たなくなってしまうという事態が少なくありません。
そういった時に、経営を持ち直す手段として任意整理を有効利用する必要があります。
任意整理をすると、その後の事が気になってしまうかもしれませんが、任意整理という債務整理をしたあとでも再起を図り成功する人は多くいます。
それよりも、経営状態が悪化している中で、無理に経営を続ける方がダメージが大きくなってしまうでしょう。問題を放置するメリットはありません。
では、具体的に会社の任意整理がどういったものなのか確認してみましょう。
任意整理は裁判所を通さない。ただし…
任意整理とは、弁護士などの代理人が債権者に返済の方法や返済の額について話し合いをして、支払いが可能になるような条件での合意を成立させる手続き。
- 借金の額を減らしてもらう(遅延損害金の免除など)
- 利息をカットしてもらう
etc
個人が任意整理をする場合もそうですが、会社が企業として任意整理をする場合でも、裁判所を通す必要がありません。
個人の場合は、基本的に弁護士を通し『毎月どの程度返済するのか』ということが債権者と話し合われ、双方、折り合いがつく着地点があれば和解が成立します。
この時に目安にされるのは、債務者の給料、そして、月々の生活費(家賃や光熱費、食費など最低限のお金)を考慮に入れた上で返済が可能かどうかということ。(3年以内に返済可能かどうかが重視される事が多い)
このように、個人の場合は、比較的お金の出入りが分かりやすくシンプルです。
一方で、会社の場合は、銀行からだけでなく、取引先に借金をしている場合もありますし、減価償却、従業員への給料、今後の見込み収益など、資金の出入りは個人に比べて圧倒的に複雑です。
個人の任意整理はごくごく稀に自分自身で手続きをする場合もありますが(本来は個人でもかなり厳しい)、企業の場合は、まず不可能と考えて下さい。
債務整理の中では裁判所を通さないので比較的ハードルが低いように感じるかもしれませんが、債務整理のプロである法律事務所(弁護士・司法書士)に相談をしながら進める事が重要です。
法律事務所に相談すると、どの程度の借金があり、どの程度のペースで返済が可能か、といった事が考慮に入れられたうえで、債権者に交渉をしてくれます。これは専門家でしかできない作業なのです。
任意再生のメリット 世間からの目が全く違う
会社の経営状態が行き詰まると、『破産』や『民事再生』と呼ばれる債務整理を行うイメージが強いかと思います。
実際、これらの方法で債務整理をすると、借金が免責とされたり、減額されたりと、金銭面でのメリットは大きくなります。
しかし、その一方で、裁判所など、さまざまな第三者機関に「この会社の経営状態は良くない」という事が広がりますし、一般の人の多くもその情報を知り得る状態になってしまうでしょう。
この風評被害は計り知れないものがありますね…。有名企業でも一度、民事再生をするとそのイメージを払拭するのは極めて困難です。
- 取引先が減る
- 商品が売れない
「経営状態が良くない」=保証もままならないのでは?この商品は大丈夫なのか?
こういったイメージは企業にとって致命的です。
一方で、任意再生をした場合は、法的機関を通す手続きを必要としないので、基本的に、弁護士など交渉を代理する人(機関)と、債権者のみにしか、その状況が伝わりません。
そのため、前述のような「経営状態が良くない」「取引を控えた方がいい」といった風評被害を最小限に留める事ができるのです。
また、民事再生などの場合は、法的手続きに伴い膨大な提出書類を作成する必要があり、そのために使う時間も馬鹿になりません。
任意再生も専門家を通さないとできない事ですが、民事再生等に比べると比較的ハードルが低くなるでしょう。
個人と会社の任意整理の違いとは?
個人が任意整理をする場合、消費者金融など、金融機関と交渉をして、無理のない支払い条件に変更・利息のカットなどを行う事になります。
会社の場合も、もちろん、金融機関からの借金に対してこのような交渉をすることになりますが、個人と異なる点は、企業の場合、金融機関だけでなく、買掛金など、支払いがされていない状態の企業間のやり取りも対象となり整理を進める事になります。
こういった事も企業の任意整理は個人より複雑とされる点です。
任意整理に必要な金額
個人の場合は、目安となる費用がありますが、会社の場合は目安となる金額はあまりあてになりません。
というのも、企業によって規模は全く異なりますので、それに対する手続きの手間も大きく異なってくるのです。
また、表向き同規模の企業であっても、一方は、お金の流れが分かりやすく、一方は、お金の流れが複雑かもしれません。
最終的な費用は、任意整理にどの程度の手間がかかるかによって決まってきます。
目安はあてにならないと言いましたが、参考までに、
小規模の企業なら20万円〜手間に応じて100万円を超える事も。
中規模以上から100万円以上。
この程度の費用は最低限かかると考えて下さい。金額が大きいので分割に応じてくれる法律事務所も少なくありません。
もちろん、利息のカットや支払い方法の変更によりメリットがこれ以上のものになるのは間違いないはずです。
また、どの程度のメリットがあるのか、相談するだけならそこまで高い費用を必要としません。まずは、相談をしてみましょう。
任意整理の注意点やデメリット
多くのメリットがある任意整理ですが、注意点も少なくありません。メリットだけでなく、デメリットも把握しておきましょう。
法人カードは解約になる
任意整理は、法的手続きではないものの、債務整理となるので『事故歴』として記録が残ってしまいます。一度、借金の返済が困難になったわけですからこれは仕方のない事です。
そして、クレジットカードはお金を貸す事を主な目的としているので、その影響をもろに受けてしまいます。
株式会社シー・アイ・シーという企業がクレジット会社の信用情報機関の役割を担っていますが、この企業は個人の情報のみで企業の情報は持っていません。
しかし、クレジット会社はそれとは別で法人の信用情報を持つ機関とも提携をしており、定期的にその情報を確認しています。
そして、確認された地点で事故情報を入手する事となり、その地点で問答無用で解約となってしまうでしょう。
確認される頻度は、クレジット会社によって異なるので一概には言えません。
しかし、法人カードにも更新があるので任意整理後の更新はないものと考えておきましょう。
一部の取引先を特別扱いにできない
前項のように、会社の任意整理は金融機関だけでなく、買掛金などの関係でお金を支払う必要がある取引先も整理の対象となります。
そして、その取引先の中には「この企業には義理があるのでしっかり返済したい」というケースもあるはずです。
しかし、任意整理をする場合、一部の企業を特別扱いする事は基本的にできません。
というのも『債権者平等の原則』というものがあり、不平等が発覚してしまうと、債務整理そのものが無効にされてしまう可能性すらあるのです。
よくよく考えると普通の事ですね。「なぜ、〇〇会社には満額返済したのに、うちへの返済は減額されたんだ!」こういった声が上がるのは当然の事です。
金融機関の負担、取引先への負担、それぞれが納得する形となって任意整理が成り立つのです。その点は弁護士と相談しながら進めましょう。
また、任意整理によって債務の整理に応じてもらった取引先とは、これまで通りに取引できなくなる可能性も十分考えられます。
クレジット会社のように問答無用な対応にはならないかもしれませんが、感情的な部分で納得してもらえるかが重要な判断要素になるかもしれません。
税理士ではなく法律事務所へ相談を
当然の事ですが、会社の経営者は財政状況の事を顧問税理士に相談してしまいがちです。
ですが、任意整理を担当するのは弁護士か司法書士です。
税理士が会計に関するスペシャリストである事は間違いありませんし、会社のお金の流れを分かっており財政状況も把握しているかもしれませんが、必ずしも任意整理の知識に長けているとは限りません。
任意整理に関する正しい情報を得るには法律事務所へ相談するようにして下さい。
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