『過払い金は消費者金融などで高金利の借金をした場合に発生するもの』というのが一般的な考え方かもしれません。
しかし、実際には、ほとんどの人が利用しているであろうクレジットカードの利用でも過払い金が発生する事があります。
ただし、クレジットカードの過払い金は少し特殊な仕組みとなっています。
今回は、その特殊な仕組みと注意点を確認していきましょう。
そもそも過払い金とは?
簡単に、過払い金が発生する仕組みを確認しておきましょう。
消費者金融などでお金を借りていた場合、利息制限法の上限を超えた利息を支払っていた可能性があります。
これは民法上は無効となるものの刑事罰にはならない『グレーゾーン金利』とされる特殊な金利です。
しかし、民法上は無効の金利となるため“利息を支払い過ぎた状態”となり過払い金として請求ができるようになっています。
最近は過払い金に関するテレビCMなどもよく見かけますね。
それだけ過払い金が発生している人は多くいますし、金額もバカになりません。
クレジットカードのショッピング枠は過払い金対象外
クレジットカードが最も多く使われるのはネットや実店舗での『ショッピング』かと思います。
一括で支払った場合は、手数料が全くかかりません。
しかし、分割にして支払うと少し驚くぐらいの金額がショッピングで支払うお金に上乗せされて請求されてしまうはずです。
「クレジットカードの過払い金というと、この上乗せされたお金を取り戻せるのでは?!」
と期待してしまいますが、残念ながら、ショッピング枠はお金を借りたという扱いではなくショッピングの代金を立て替えてもらったという扱いです。
そのため、支払っている上乗せされたお金も利息の支払いとは異なり立て替えに対する“手数料”という扱いになります。
以上のことから、先ほどのグレーゾーン金利には該当せず過払い金請求もできません。
キャッシング枠でお金を借りた場合は過払い金の対象となる可能性がある
クレジットカードには買い物に使えるショッピング枠とは別に、ATMからお金を引き出せる『キャッシング枠』と呼ばれるものがあります。
この場合は、現金を引き出す事になるので、ショッピング時の立て替えとは異なり、カード会社から『借りたお金』となります。
つまり、銀行や消費者金融からお金を借りた場合と同じく『借金』という事です。
そして、消費者金融などと同じく、法律で定められた金利を上回っている場合は過払い金が発生し、それを請求する事が可能です。
2007年までにキャッシングをした人が対象。最終取引日から10年で時効
過払い金の問題が浮上したのは、2006〜2007年ごろ。
そして、このタイミングでカード会社は一斉に法定内の利息に切り替えました。
そのため、原則として、2007年以降のキャッシングでは過払い金が発生しません。
さらに注意したいのは、最終取引日から起算日で10年経過してしまうと、過払い金が時効となってしまうため請求が一切できなくなってしまうという事。
起算日とは計算し始める日を指し、借金を返済し終えている場合は、最終返済日が起算日となります。
2007年とやや古いキャッシングに対する過払い金となるので、もし、キャッシングに身に覚えがあり、過払い金を取り戻したい場合は、できるだけ早い段階で法律事務所に相談する事が重要になってきます。
過払い金が発生しているカード業者
カード業者は数が多いので全てを網羅して紹介する事はできません。
今回は代表的なカード業者を紹介します。おそらく、多くの人が該当するはずです。
エポスカード・・・2007年以前の利息は多くの人で27%。今現在、最も過払い金請求がされている業者です。おそらく、2007年以前にキャッシングをしている場合は過払い金が発生するはずです。
オリコカード・・・2007年以前にキャッシングをしている人の多くで過払い金が発生しています。
ニコスカード・・・2007年以前、多くの人の利息が20〜29%ほど。2007年以前のキャッシングは過払い金が発生している可能性があります。
統合の影響で、複数のニコスカードを利用していた場合は別々での請求ができず、まとめて請求する事になります。
セゾンカード・・・2007年以前、多くの人の利息が24〜29%ほど。2007年以前にキャッシングをした人は過払い金が発生している可能性があります。
イオンカード・・・2007年以前、多くの人の利息が29%ほど。2007年以前のキャッシングには過払い金が発生している可能性があります。
アプラスカード・・・2007年以前、多くの人の利息が21〜29%ほど。2007年以前のキャッシングは過払い金が発生している可能性があります。アプラスカードローンも過払い金の対象です。
こちらでは、過払い金請求がされている代表的なカード業者を紹介しましたが、基本的にどのカード業者も2007年以前は利息制限法の上限を超えた利息をとっていました。
そのため、どのカード業者という事もなく、2007年以前のキャッシングは過払い金を確認する価値があります。
ただし、上記のような大手と異なり、小さな業者は倒産している事も少なくありません。
そういった場合は、請求先もはっきりしないため、請求が難しいのが現状です。
ショッピング利用が残っていると債務整理となる可能性
過払い金を請求する場合は、カードのショッピング枠を利用していないかどうかをしっかりと確認しておく必要があります。
仮に、ショッピング枠を使っている状況で過払い金請求をした場合は、過払い金とショッピング利用分が相殺され、借金の整理をした扱いとなり債務整理に該当するケースがあります。
債務整理に該当すると、信用情報には事故情報が残る事になり、先5〜10年間は銀行からの借り入れやローンを組む事ができませんし、クレジットカードも作れなくなります。
過払い金によってお金を得る事以上にダメージを負ってしまうかもしれません。
これは電話料金やガス代なども同じです。いずれの方法でもショッピング枠を使っているのはリスクになります。
過払い金を請求する場合は、カードの利用を止めて、電話料金などの支払い方法も変更しておきましょう。
過払い金請求をしたクレジットカード会社は使えなくなる
過払い金請求をしたクレジットカード会社は、多くの場合、その後カードが使えなくなります。
また、今後そのクレジットカード会社でカードを発行する事も基本的にできません。
しかし、これは「過払い金請求された」という会社独自の判断です。
過払い金請求だけでは信用情報に事故情報が残る事はないので、他のクレジットカード会社であれば問題なくカードが作れますので安心して下さい。
クレジットカード会社は返金率が高い
過払い金が発生していても残念ながらその全額が回収できるわけではありません。
その時に回収できる割合に対して『返金率』という言葉が使われます。
例えば、200万円の過払い金が発生していたとしましょう。
これは本来カード会社が持つべきお金ではなかったので、カード会社はこの金額に利息をつけて元の持ち主に返金しなくてはなりません。
しかし、カード会社の立場としては、200万円に利息をつけて返金するのは納得がいきませんし、実際に裁判になったとしても判決がでないまま長引いてしまうでしょう。
これでは、請求した側も時間と労力、お金がかかってしまい良いことがありません。
そこで、ほとんどの過払い金請求では一定の額まで引き下げる事により『和解』という手段で決着します。
例としては、「180万円まで引き下げるから手を打ちませんか」とカード会社に提案するわけですね。
カード会社も裁判をしたいわけではありませんし、判例として利息が必要な事は理解しているので、こういった引き下げに応じてくれます。
そして、カード会社の場合は、その際の引き下げが比較的低く済み、返金率が消費者金融よりも良い事が多いのです。
そもそも、消費者金融と異なり、金貸し専門で商売をしているわけではないので、過払い金に対する負担も消費者金融ほどありません。
こういった点も返金率を高くできる要因となります。
最後に
クレジットカードでキャッシングをした場合、過払い金が発生している可能性がありますが、それは2007年以前の話です。
そして、最終取引日(借金を返済し終えた日)から10年で過払い金の請求ができなくなります。
もし、心あたりがある場合は、1日でも早く行動する事が大切です。
過払い金請求をするには弁護士や司法書士など借金問題のプロの力が必要です。できるだけ早めに法律事務所に相談してみましょう。
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