借金の返済が苦しくなった時には、法に基づく救済制度である債務整理を利用するのが適切です。
しかし、債務整理だけでなく任意整理という言葉もよく耳にしますし、自己破産という言葉も有名ですね。
では、これらにはどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、債務整理と任意整理の違いについて確認してみましょう。
任意整理は債務整理の一つの手段
実は、債務整理とは、債務を整理する手段全般を指す言葉。
そのため、債務整理にはさまざまな種類があります。
具体的には、
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
- 特定調停
これらの4種類に分ける事が可能。
「任意整理と債務整理の違いとは?」という疑問の結論としては、債務整理と任意整理は比べられるものではなく、任意整理は債務整理の一つの手段という事です。
ちなみに、『過払い金請求』も債務整理の一つの手段に分類する事がありますが、実際には、払い過ぎの利息を請求する作業で本来払う必要のなかったお金を取り戻すだけなので、債務整理とは分けて考えるべきでしょう。
債務整理をすると、信用情報には事故情報が残り、いわゆるブラックリスト状態となりますが、過払い金請求では事故情報も残りません。
具体的に任意整理の効力とは?
任意整理は、最も手軽に利用できる債務整理の手段とされており、返済の苦しい債務先に直接交渉(多くの場合、弁護士を代理人とする)して利息・遅延損害金のカットや、返済期間の見直しを行います。
元金に関しては、基本的に減額されませんが、以下の条件があると減額される事も。
- 任意整理と同時に調べる過払い金が発生している
- 任意整理後の返済を一括で支払う
過払い金に関しては支払い過ぎの利息の返還となるので、厳密には任意整理ではなく、過払い金請求となりますが、
任意整理の手続きの際には、取引履歴を債権者から取り寄せ、利息制限法で引き直し計算をするので、その際に同時に過払い金についても把握する事が可能です。
ただし、2007年以降の借金では過払い金が発生する事は稀な話となるので、そこまで期待できないかもしれません。
一括払いに関しては、通常、分割で3〜5年で回収する債権を一度に回収できるというメリットから、債権者が減額に応じてくれる事が多くなっています。
もちろん、これまで分割での返済ができなかった中で、一括払いは難しい部分がありますが、家族の支援などでこの方法を選択する人も少なくありません。
⇒1〜3割減額される?!一括払いの具体的な方法
ただ、元金が減らなくても、将来分の利息がカットされ、返済期間が見直されるだけでも十分な効力を得られます。
例えば、100万円を年利率15%の金利で5年返済した場合
最終的な返済総額は1,427,378円で、利息だけでも427,378円支払う事に…。
任意整理では、多くのケースでこの利息がカットされるので、100万円を返済できればOKとなります。
利息がカットされるだけでも全く返済額が異なるんだね!
任意整理が最も効力を発揮できるのは、消費者金融やクレジットカードなど高金利の借金という事になるんだ。
逆に考えると、金利の低い借金を任意整理してもあまり意味がない。
あと、任意整理後の返済期間は3〜5年だから、もともとの返済期間が長い借金に関しても、任意整理の利用は難しくなるよ。
任意整理が手軽に利用できる理由
「債務整理は借金がチャラになるイメージだった」
このようなイメージを持っている人が多いかもしれませんが、これは債務整理の中でも自己破産を選択した場合に得られる効力です。
一方、任意整理に関しては元金が基本的に減らないなど効力がそこまで強くないものの、
- 返済の苦しい借金のみを選択して整理可能
- 財産の換価処分がない
といった手軽に利用できる条件が揃っているのが大きな利点となります。
例えば、自動車ローンや住宅ローンを整理の対象に入れなければ、車や家を手放す必要はなくなりますし、友人や知人からの借金も整理の対象から外せます。
財産に関しても、調べられる事すらありませんし、自己破産のように20万円以上の価値があるものが換価処分(処分で得たお金が債権者に分配される)される事もありません。
また、消費者金融やクレジットカードの借金は連帯保証人を立てていない事が多いので、連帯保証人に迷惑をかけずに借金を整理できるというのも嬉しいメリットとなります。
裁判所を通さないため正確な統計はないものの、年間200万件ほど任意整理が行われているともされており、非常に一般的な手段となっています。
その他の債務整理の特徴
以上が任意整理の効果や特徴ですが、手軽に利用できる一方で、多額の借金を背負っている人には適さない方法となります。
以下では、任意整理以外の債務整理の特徴を確認してみましょう。
自己破産の特徴
自己破産は、抱えている借金が全てチャラになる最も効力の強い方法。
返済がほぼ不可能…、そんな時に使う方法で、裁判所に申立てる事で、免責の許可がおります。
ただし、借金が全て無くなる代わりに、財産の大部分も処分しなくてはなりません。
まず、住宅に関しては、ローンの有無に関わらず処分の対象(アパートに住んでいる場合はそのまま住める)。
その他、時価20万円以上と判断されれば、自動車や有価証券、預金、返戻金のある生命保険なども処分の対象です。
借金が無くなるのに、財産を持ったままは矛盾していますからね…。仕方のない事ですが、けして手軽に利用できる方法とはなりません。
また、借金を選択して整理する事も認められないので、友人・知人から借りている借金も含めて全てが免責の対象となります。
自己破産という言葉はよく耳にしますが、借金問題の最終手段と考えておきましょう。
個人再生の特長
個人再生は、債務を5分の1(1,500万円まで)〜10分の1(5,000万円まで)に減額して返済する方法。
任意整理と異なり元金も含めて減額されますが、自己破産と異なり整理後の返済を必要とします(返済期間は3年ですが例外的に5年まで認められることも)。
そのため、任意整理と自己破産の中間的な役割を担っていると例えられる事が多くなっています。
また、もう一つの特徴として、抱えている財産の価値次第では、返済額に影響を与える事があります。
例えば、600万円の借金を任意整理する場合、
1,500万円までの借金は5分の1となるので、個人再生後の返済額は120万円となりますが、
もし、所有している車(ローンは組んでいないものとする)に150万円の価値がある場合は、5分の1にした借金の額より、そちらの方が高額となるので、返済額は150万円となります。
ただし、自己破産と異なり換価処分がありませんので、車を処分する必要はありません。
以上のように、返済額は財産によって変動することがあるのです。
また、自己破産と同じく、債務先を選択する事はできませんので、全ての借金が個人再生の対象となります(ただし、住宅ローンのみ例外的に除外が認められる)。
そのため、所有している車にローンがある場合は、担保として信託会社に車を処分されてしまう可能性があります。
換価処分が無いものの、車のように買ったものそのものが担保となっている借金は、整理をした地点で債務先に処分されてしまう事があるんだ。
その点も考慮にいれて選択しないと、個人再生後の生活が難しくなってしまうかもしれない。
特定調停の特徴
特定調停は、任意整理に最も規模感の近い方法ですが、任意整理とは異なり裁判所が介入し、適切な解決策を提案します。
返済期間は通常3年間で、双方が合意すれば成立します。
任意整理と異なり、弁護士を介さなくても手続き可能。その分、費用を抑えられるメリットがある反面、用意する書類なども多く、労力と時間といったコストがかかる事は避けられません。
裁判所が間に入るので適切な和解ができますが、慣れない作業から途中で任意整理に切り替える人も多く、向き不向きのある方法です。自信のない人は、最初から任意整理を選択した方が無難かと思います。
なにより、任意整理の費用はそこまで高額ではありません。
最終的な判断は弁護士に相談してから決定を
以上が、任意整理とその他の債務整理の違いですが、適した方法は債務状況によって異なります。
大多数の人が任意整理を利用しますが、任意整理を利用できる人は、消費者金融やクレジットカードなど限られた借金のみで、低金利の借金で苦しんでいる人はその他の方法を選択しなくてはなりません。
いずれにしても、この記事を読んでいる人は借金で苦しんでいる状況かと思いますので、できるだけ早く借金問題のプロフェッショナルである弁護士に相談するようにして下さい。
相談したからといって、債務整理をする事が決まるわけではありません。ただ、今後どのような対処をしていくのが正解なのか方向性が確認できるはずです。
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