スマホや携帯などの電話料金(以後、携帯料金)を滞納している人は少なくないかと思います。
特にスマホは、基本料金が高いうえ端末代金を分割で支払う事も多く、支払いが困難になるという事例が少なくありません。時には滞納額が数十万円に達する事もあるでしょう。
そんな時には債務整理によって携帯料金の滞納を整理する事が可能です。
債務整理には、
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
大きく分けるとこれらの3つの手段がありますが、いずれの手段でも携帯料金の滞納分は整理できます。
ただ、携帯料金を債務整理するとデメリットも少なからずありますので、注意点を確認してから判断する必要があります。
携帯料金の滞納を任意整理する場合
任意整理は、
- 利息のカット
- 延滞損害金のカット
- 3〜5年かけて分割で支払い
これらの項目を、弁護士など代理人を通して債権者(携帯料金の場合は携帯会社(ドコモなど))に直接交渉します。
ただし、利息等のカットのみとなるので、元金は原則として支払わなくてはなりません。つまり、もともと支払うべきだった携帯料金は減額されないということです。
弁護士判断で受任されない可能性もあります。
また、携帯会社が任意整理の交渉でどの程度譲歩してくれるかも、その都度変わります。(例えば、分割期間を3年しか認めないなど)
滞納した携帯料金には、利息や遅延損害金が発生する
「利息分カットではあまり意味がなさそう…」
という意見も多いかと思います。
しかし、携帯会社は延滞利息を年利約14.5%に設定しており、これは消費者金融とそこまで変わらない水準の高金利となります。
そのため、長期に渡り滞納が続いている場合は、利息のカットだけでも大きなメリットがあるかもしれません。
また、携帯端末の分割が未払いになっている場合も、端末代に対し遅延損害金が年利約6%で発生するのでけして小さな金額ではありません。
また、交渉次第では、将来分だけでなく経過分の利息や遅延損害金がカットされる事もあります。
※利息・遅延損害金の金利は、ドコモ・ソフトバンク・au共通(当サイト調べ)
本来は一括で支払いを求められるが自分で分割を交渉する事も可
携帯料金の滞納は基本的に一括での支払いが求められます。
そもそも既に支払っておくべき料金なので携帯会社側から分割を認めて請求してくるような事はないのです。
ただ、金額によっては一括での支払いが困難な事も理解しているので、任意整理をせず直接交渉をしても分割を認めてくれる場合があります。
しかし、直接交渉で得られる分割は3回払いなど厳しい条件を提示される事がほとんどです。
もちろん、利息や遅延損害金もカットされません。
最初に自分自身で携帯会社に交渉するのも一つの手ですが、
- 分割にならない可能性もある
- 分割になっても厳しい条件が多い
- 利息等のカットは不可能
これらの状況から考え、「3回払いになるなら返済可能」といった場合のみ有効な手段になるかと思われます。
必ずしも良い条件で和解できるとは限らない
銀行などの金融機関や消費者金融などの貸金業者に任意整理を交渉すると、ほとんどのケースで利息や損害金を過去分含めてカットできるなど有利な条件で和解を得られます。
しかし、携帯会社については、そもそもお金を貸す業者ではないので滞納が多額でない事も多く、金融機関等に比べて強気な姿勢で交渉に応じます。そのため、思惑通りの結果が得られない事も少なくありません。
例えば、
過去分の利息や延滞損害金がカットされない
分割を3年以上の期間認めない
このような事情から、弁護士によっては携帯会社への任意整理を受けてもらえないケースもあります。「任意整理をするほどのメリットがない」と判断するようです。
ただ、一般論として自分で交渉するよりは良い条件で和解できるのは間違いありません。どうしても携帯料金を任意整理したい場合は、受任してもらえる弁護士を探してみましょう。
任意整理は裁判を回避するメリットもある
携帯料金の未払いが続くと、携帯会社は契約を強制解約します。これは、料金を支払っていないので仕方がありません。
一部の人は「解約になったし、このまま支払わずに逃げ切ってやる!」と考えてしまうようですが、これはかなり危険。
強制解約をされた場合、その後の債権回収はそれを専門としている法律事務所に委託され、法律事務所から滞納分の支払いを求められる事になります。
さらに、これを放置してしまうと、裁判所を通した督促状が届き、最終的には訴訟の提起をされてしまいます。こうなってくると逃げ切るどころか、財産を差し押さえされてしまうかもしれません。(銀行口座や所有物)
「さすがにそこまでされないだろう…」と考える人も多いかもしれませんが、携帯会社が債権回収のために裁判を起こす事はけして珍しい事ではありません。
一方、弁護士に相談して任意整理の受任通知が届けられた場合には、いきなり裁判を起こすような事はありません。
過去の判例で、『正当な理由がない限りは誠実に対応し合理的な期間は強制失効等をしてはならない』とされており、これを守らないと不法行為とされ債権者側が不利になってしまいます。
合理的な期間と曖昧な表現ですが、少なくとも3ヶ月は裁判にならないと考えて間違いないでしょう。
また、いずれにしても裁判をしても裁判上の和解が成立してしまうので、費用と手間を考えると債権者側のメリットは多くありません。こういった事情から、任意整理の受任通知後は裁判を起こされる事自体がごく稀なケースです。
和解成立後は滞納をしない限り督促を受けない
任意整理には利息がカットされる金銭的メリットと、支払いが分割になる支払期間のメリットがありますが、督促や取り立てを受けなくなるというのも大きなメリットです。
任意整理の和解が成立したということは、その支払い方法を債権者側が認めたということ。
そのため、これまでのような一括での催促や取り立てはストップします。
借金問題や滞納問題では、取り立てによって精神的に追い込まれてしまう人が少なくありません。取り立てが無くなるのは、金銭的なメリット以上に大きいことかもしれません。
もちろん、任意整理で約束した返済ができない場合は再び取り立てが始まりますので、そうならない努力は必要です。
サラ金などを利用して返済した場合
「携帯電話が止まるとまずいから」といった理由で、消費者金融などでお金を借りて携帯料金を支払っているケースもあるかと思います。
このケースで任意整理をする場合、交渉先は携帯会社ではなく消費者金融となります。
任意整理では「どういった事情で借金をしたのか」といった事は基本的に確認されませんし、確認されたとしても携帯会社には何も影響を与えません。
ただ、基本的に消費者金融を相手に任意整理をした方が良い条件を引き出しやすいので、5年分割や過去の利息分もカットしてもらえる可能性が高まります。
あくまでも『可能性』なので断言はできませんが、携帯会社を相手にするより支払いがスムーズにできるかもしれません。
携帯料金の滞納を個人再生する場合
個人再生は、債務の総額を5分の1に減額して、原則3年で返済する方法(事情によっては最長5年)。
元金を返済する任意整理に比べて圧倒的に返済総額が減る事になります。
ただし、効力が大きい分、債務先を選択できないなどデメリットもあります。
例えば、自動車ローンを組んでいる場合は、自動車ローンも個人再生の対象となり車を引き渡す必要がある。
例外として、住宅資金貸付債権に関する住宅ローン特則により、住宅ローンのみ個人再生から除外できる。
除外した場合は、家を手放す必要はない。
そのため、数十万円程度の借金で個人再生を選択する事はまずありません。多くの場合は、数百万円ほどの比較的大きな債務を抱えた人が利用します。
携帯料金のみで、ここまでの負債を抱える事はまず考えられないので、他の借金も含め借金額が大きくなった時に検討してみる価値があるでしょう。
事情に関係なく利用できる
個人再生では『どういった事情の債務なのか』という事は重視されません。
そのため、
- 消費者金融
- 銀行からの融資
などと同じように、携帯会社への滞納であっても例外なく個人再生の対象です。
個人再生には、自己破産のような免責不許可事由といったルールもありませんので、携帯料金の滞納には比較的使いやすい制度と言えます。
知人からの借金も対象になる
個人再生は、住宅ローンのみ除外が認められます(除外した場合は従来通り住宅ローンを支払う必要がある)が、その他の債務は全て整理の対象となります。
これは、知人や友人からお金を借りている場合も例外ではありません。
「友人へはしっかり返済したい」と考える人も多いかもしれませんが、債権者平等の原則によって特定の人だけ多目に返済するといった事も認められません。
【債権者平等の原則】
A銀行から200万円の借金・・・40万円に
B消費者金融から100万円の借金・・・20万円に
C友人から100万円の借金・・・20万円に
もともとの債務額に応じて平等に5分の1が返済されることになる。
携帯料金の滞納を自己破産する場合
自己破産は、債務の全額が免責になる最も強力な債務整理の手段です。
個人再生で5分の1を返済するのも難しい場合に利用されます。
ただし、その分デメリットも他の債務整理とは比べ物にならないほど大きいので、慎重に検討しなくてはなりません。
多くの財産を失う
個人再生では住宅ローンのみ除外できましたが、自己破産ではそういった特例もありません。
抱えている債務は全てが自己破産の対象です(税金等の滞納は例外)。
もちろん、個人再生のように、知人・友人への借金も含まれます。
また、ローンを組んでいる組んでいない(もしくは、払い終えている)に関わらず、住宅は任意売却をするか競売にかけられる事になります。『持ち家は手放す』が原則。
他にも、時価20万円以上の価値があると判断された車は処分する必要がありますし、有価証券や返戻金のある生命保険も処分の対象です。
基本的に生活に必要な家電等以外の財産は処分されてしまいます。
テレビドラマなどで、赤い札をペタペタ貼られて自宅にあるものを処分される光景が放送されることがありますが、あれは自己破産を現した光景です。
実際にはあそこまで強引に何でも処分されるわけではありませんが、それでも多くを失う事は間違いありません。
免責不許可事由がある
自己破産には『免責不許可事由』があり、唯一、借金の理由が関係してくる債務整理の手段です。
【免責不許可事由】
- 浪費
- 賭博その他の射幸行為
これらは免責が許可されない可能性がある。
自己破産は、0か100で判断され、半分免除といった事はなく『借金が無くなるか』『借金が残るか』のいずれかです。
ただ、余程悪質でない限りは、裁判官の裁量によって不許可事由でも借金の免責が認められます(裁量免責)。
携帯電話の滞納は浪費といえば浪費なのかもしれませんが、これだけで不許可となる事はまずありません。
ただ、他に抱えている借金の理由が悪質なものの場合、携帯料金の滞納も含めて免責が不許可になる可能性があるので注意が必要です。
いずれにしても自己破産が必要な場合は申立を
自己破産はデメリットが大きいうえ、免責にならない可能性もあります。
しかし、債務を5分の1に減額しても返済ができないのであれば自己破産を選択するしかありません。
デメリットが大きいゆえに行動できないかもしれませんが、借金問題は判断が遅くなるほど問題が大きくなってしまうものです。
デメリットは人によって異なるので、まずは法律事務所に相談してみましょう。
こちらは、過去の免責に関するデータですが、97%前後は免責が認められています。よほど悪質と判断されない限りは認められるという事です。
滞納3ヶ月でブラックリストに載る可能性がある。でも…
「ブラックリストに載っているからクレジットカードが作れない!!」
という事を聞いたことがあるかと思います。
一般的に、債務整理をした人に「過去に借金の返済ができなかった」という履歴が残り、それがブラックリストになると解釈されていますが、
債務整理をしなくても、携帯料金を3ヶ月滞納した地点で信用情報には事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載ることになります。
ブラックリストに載ると、
- ローンを組む
- 融資を受ける(消費者金融を含む)
- クレジットカードを作る
これらの事が基本的にできなくなります。
ブラックリストに載る期間は、5〜10年。事故情報が消えた後は従来通りこれらのことができるようになります。
ただ、逆に考えると、携帯料金を滞納して債務整理を検討する人は、債務整理をする前から既に信用情報に事故情報が残っている可能性が高く、既に債務整理によるデメリットの一つを抱えていることになります。
特に任意整理の場合は事故情報以外のデメリットがほとんどないので、整理する事へのハードルはグッと低くなるでしょう。
無料・匿名で借金がいくら減額になるか確認
当サイトをご覧になられている多くの人は借金問題で悩んでいる状況かと思います。
皆様のお役に立ちたく、当サイトを運営していますが、その第一歩として無料匿名シミュレーションの利用をお勧めします。
以下のサイトでは、1分ほどの簡単入力で借金がいくら減額になるのか確認可能。
地域や借入れ状況から、あなたの状態にあった専門家をマッチングしてもらう事もできます。
まずは、一歩踏み出してみましょう。