自己破産では、債権者を一覧にした債権者名簿を提出して、自己破産の開始が決まります。
ですが、時には、一部の債権者を忘れてしまったりなど記載漏れが生じ、のちのち追加で債権者を増やしたい、という場面があるかもしれません。
結論としては、基本的に記載漏れがあっても免責の対象となりますが、故意や過失によって記載しなかった場合には、免責にならないケースも考えられます。
具体的には、
- 破産手続き開始前
- 免責決定後に失念に気がつく
- 免責決定後に故意に隠した事が発覚(もしくは申告する)
- 免責決定後に債権者から請求があり気がつく
これらの形があるかと思いますので、それぞれどういった対応になるのか確認してみましょう。
借金を借金で返済する事もあるし、自己破産をする時って複数の借金がある事が多いよね…。
一覧にして提出する際に、記載漏れも起こりそうだけど…。
確かに、自己破産をする人のほとんどが複数の債務を抱えているね。
そのため、時には記載漏れが起こることもある。
でも、基本的には、後の申告でも免責の対象になることが多いかな。自己破産は原則として全ての債権者に影響を与えるからね。
でも、故意や過失で申告しなかった場合には免責の対象にならないんだね?
んー、それは判断が難しいから結論を出せることでもないんだけど。実際、裁判所によっても意見が分かれるところ。
ただ、故意や過失によるものの場合、免責の効力は及ばないとされているよ。
破産手続き開始前なら問題ない
破産手続きに伴い、債権者名簿を提出し、その後、自己破産の開始決定がされます。
債権者名簿は、裁判所が負債状況を把握するためのもの。
裁判所は国家機関ですが、さすがに個人の負債状況までは把握していません。ましてや、自己破産の効力は個人間の借金にも及びますので、仕方のないこと。
そのため、債権者名簿によって、債権者の数などが把握されます。
しかし、借金を繰り返している場合などには、忘れている借金があるのも不思議なことではありません。
ご自身で気が付く事もあれば、債権者からの請求で気が付くこともあるでしょう。
では、債権者名簿に記載し忘れた場合にはどうなってしまうのか?
以下は新潟地方裁判所からの引用
債権者の追加をする場合は,関係書類を添付した「債権者追加上申書」を裁判所に提出して下さい(用紙は裁判所にあります)。なお債権者の追加は免責意見申述期間満了日の4日前までに行ってください。それ以降に追加をしても,裁判所から債権者に通知を送ることはありません。あなたご自身が,追加した債権者に対しすべての連絡や通知を行って下さい。連絡などを行わないと免責の効力が及ばない場合もありますのでご注意ください。
引用:新潟地方裁判所
免責意見申述期間とは、債権者が自己破産の手続きに対して異議の申立ができる期間。
その期日の4日前までであれば、破産者名簿に追加する事が可能で、通知に関しても裁判所が行なってくれるということです。
破産者名簿に記載されている住所に、破産手続開始の旨と、破産管財人が選ばれる場合にはその氏名、破産債権と届け出る期間といった事が裁判所から通知される。
ですので、新潟地方裁判所の例では、免責意見申述期間満了日の4日前までなら、最初から破産者名簿に記載した場合と同じように手続き可能。
これは、裁判所によって若干の差があるものの、同じような基準になっていると考えて下さい。
ただ、その一方で、『もし、それに間に合わない場合はご自身で債権者に連絡して下さい』という一文もあり、期限を過ぎたからアウトという事にはなっていません。
要するに、『ここまでの期間なら裁判所がやるけど、その先は自分でやってね』とされており、失念していた場合でも連絡をすれば免責の効力が及ぶ事になっているのです。
免責決定後に失念に気が付いた場合
自己破産の唯一の目的は免責の許可を得ること。
そのため、免責の許可が決まった地点で、借金はゼロとなり自己破産が終結します。
では、その後、債権者を失念していた事に気がついた場合、どうなってしまうのか?
ここで重要になってくるのは、どういった事情で申告していなかったのか、という事です。
“失念”という場合には、故意ではなく忘れていたわけですから、その場合には、免責の効力が及ぶ可能性が高くなります。
自己破産は、基本的に、全ての債務が免責の対象とされています。
それが根拠で、決定前から背負っていた借金であれば決定後に申告しても、免責の効力が及ぶとされているのです。
方法としては、まず、忘れていた債権者に連絡をとり、自己破産の免責が決まった旨を伝えて下さい。
債権者によっては、免責決定通知書の提出を求めてきますので、免責決定通知書は必ず保管しておくようにしましょう。
基本的には、免責が決定している以上、請求する権利がない事を債権者側も理解していますので、その地点で、請求がストップするはずです。
もし、連絡後も請求が止まらない場合には、自己破産を依頼した弁護士に相談し、間に入ってもらうようにしましょう。
債権者にはやや酷な話かもしれませんが、免責が決まっている場合は、失念していた場合でも、免責の効力が及ぶものとされていますので、請求する権利がありません。
債権者を故意に隠した場合
一方、忘れていた訳ではなく、故意(もしくは過失)に債権者を隠していた場合にはどうなってしまうのでしょうか?
この場合には、前項の忘れていた場合とはやや状況が異なります。
破産者名簿への記載で裁判所に債権者を申告するわけですが、それを自己破産者の故意で申告しなかった場合には、その借金が非免責債権として扱われる可能性がでてきます。
ケース・バイ・ケースで、実際にどの程度の過失から非免責債権とされるか決まった基準がありませんが、わざと債権者名簿に記載しなかった場合などはこれに該当すると考えておきましょう。
債権者側からの請求により、破産者名簿の記載漏れに気が付いた場合
自身で気が付いたわけではなく、債権者側からの請求により、破産者名簿の記載漏れに気がつく事もあるかと思います。
こちらのケースでも、故意や過失ではないため、免責の効力は有効です。
連絡してきた債権者に対して、免責が決定した旨を伝えて下さい。
先ほどのように免責決定通知書を求められることもあります。
消費者金融やクレジットカード会社、銀行など、真っ当な商売をしている企業は、この地点で請求をしてこなくなるはずです。
もし、これでも請求を続けてくる場合には、自己破産を受任してもらった弁護士に相談するようにしましょう。
基本的に、自己破産の免責は有効になっていますので安心して下さい。
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