『自己破産ではさまざまな財産が処分されることになるが、リース車・残価設定ローンを組んで所有している車はどうなる?』
自己破産を検討している人からこういった質問をされる機会があります。
結論としては、自己破産では必ず車を処分されるというわけではありませんが、リース車や残価設定ローンに関しては、ほぼ間違いなく手放さなくてはなりません。
例外的に引き上げの対象とならない事もありますが、あまり期待できるものではないでしょう。
基本的な考え方としては、車を引き上げられるものとして自己破産を進める必要があります。
車を手放すと、その後の生活がかなり厳しいんだけど、なんとかならないのかなぁ…。
かなり難しいかな…。
リース車や残価設定ローンに関しては、一種の借金だから、リース・残価設定ローンの残額は破産債権になってしまう。
つまり、残りの支払いがチャラになるということ。リース会社としては、お金が支払われない上、車を貸したままにしておけないからね。
使っている車を無理矢理引き上げるということ…?
リース車や残価設定ローンは、使用者は契約者自身になっているかと思うけど、所有者はリース会社やディーラーになっているんだ(車検証で確認可)。
車をどうするかは所有者に決める権利があるから、引き上げる事も可能。一種の担保権という事になる。
じゃあ、車を手放さないといけないんだね…。
まぁ、基本的にはそうなってしまうかな。
ただ、例外的に残せる場合もあるし、今回はそういった部分も確認してみよう。
リース車や残価設定ローンの仕組み
引用:https://www.niconori.jp/information/n01
リース車や残価設定ローンは、期間を決めて車を所有できるというものです。
例えば、5年間、車を使う場合は、5年後の車の価値を考慮に入れて、月々に支払う金額が決まります。
そのため、決まった期間ではありますが、新車を購入するよりは安く新車に乗る事が可能。
契約期間終了後は、残りの分を支払う事で完全に自分の車にすることもできますし、逆にリース会社やディーラーに車を返す事もできます。
最近では、多くのディーラーでこの仕組みを利用する事が可能になっていますね。一定期間で乗り替えるという仕組みが多くの人に受け入れられているのかもしれません。
仕組みは基本的に通常のローンと同じ
一見、借りているだけなので、自己破産は関係しないようにも感じます。
ですが、実際には、先々の支払いまで契約しているので、債務という扱いになりますし、例外なく自己破産の対象。
これは、リース車や残価設定ローンでない通常のローンと基本的に変わらない扱いです。
ディーラーローンと同じく、使用者はあたな自身になっているものの、所有者はリース会社やディーラー(ローン会社)となっており、返済がされない場合には、担保権を行使して車を引き上げられてしまいます。
換価処分より優先される
自己破産では、換価処分によって多くの財産を手放す必要があります。
換価処分によって得られたお金は、債権額に応じて債権者に平等に分配される
しかし、リース車や残価設定ローンに関しては、換価処分ではなくリース会社やディーラーによる引き上げの対象です。
これは、所有者がリース会社やディーラーになっているために、優先してその物を引き上げる権利があるからで『別除権』と呼ばれます。
銀行でローンを組んでいる場合には、所有者が最初からあなた自身になっていることが多く、別除権が発生しない事になりますが、その場合には、換価処分の対象になる可能性が高くいずれにしても処分されてしまいます。
ただし、裁判所によって条件が異なっており、普通車なら6年、軽自動車なら4年で無価値と判断される場合もある
車が2台ある場合で、どちらも20万円以下の価値なら両方残せるの?
それは、裁判所によって判断が異なるから実際に自己破産をしてみないと分からないかな。
ただ、基本的には、現金とそれ以外の財産を合わせて99万円を超える場合は1台は処分する事になるケースが多い。
また、現金は99万円まで所有できるから、そのお金で買い取るという判断も可能になってくるよ。
リース車・残価設定ローンで車の引き上げがないケース
車を引き上げる理由は、その車に価値があり、売る事などでリース会社やディーラーが損失分を少しでもカバーできるからです。
そのため、もし、残存価値がほとんどなく、あったとしても、引き上げ・売却にかかる費用の方が高額になってしまうケースでは引き上げをしない判断をする可能性もあります。
ただし、もし、引き上げの対象にならなくても、あなたの財産という事になるため、財産目録に記入し、管財人に扱いを委ねなくてはなりません。
換価処分の対象にもならなかった場合には車を残す事が可能です。
ローンを優先的に支払って買い取るのはOK?
リース車や残価設定ローンは実質通常のローンとそこまで変わらないという事になりますが、「自己破産前に優先的に支払って買い取ってしまえば使い続ける事が可能なのでは?」という疑問が浮かぶかもしれません。
しかし、これは残念ながらNG行為。
もし、自分の都合で優先的に弁済をした場合には、債権者平等の原則に反する偏頗弁済に該当し、最悪の場合、免責が不許可になり、全ての借金が残ってしまうかもしれません。
そのため、偏頗弁済とされてしまう
親族が代わりに弁済
偏頗弁済となるのは、自分の財産を使って偏った返済をした場合のみ。
そのため、親や兄弟、知人など、第三者が残りのローンを支払うのであれば、それに該当する事はありません。
もし、頼れる人がいる場合にはこの方法で車の残せるかもしれません。
ただし、確実に偏頗弁済にしないために、弁護士に相談してから弁済してもらうようにしましょう。
個人再生なら借金が減る上、車を残せる可能性も
以上のように、自己破産でリース車や残価設定ローンの車を残すのは非常に困難。
ですが、個人再生であれば、もう少し車を残せるハードルが下がります。
方法は以下の2種類。
別除権協定
債権者の同意を得て、その上で裁判所の許可がおりた場合には、改めて今後も残債を支払う契約を結んだ上で車を使い続ける事が可能となります。
ただし、私用のみで使っている車は債権者平等の原則に反する事になり認められませんので仕事で使っているというのが一つの条件です。
通勤用が仕事で使っていると認められるかは裁判所の判断によって異なりますが、
個人再生は自己破産と異なり、手続き後の返済を必要とするため、仕事に必要と判断された場合には、全ての債権者にとってメリットのある共有債権とされ優先的な弁済を認められる事が多くなっています。
担保権消滅請求
担保権消滅請求は、主に、別除権協定が結べなかった場合に有効になる手段で、債権者の同意に関係なく裁判所に請求する事が可能。
仕事に使う車など、債権者平等の原則が関わるのは別除権協定と変わりませんが、分割が認められる事はなく、一括での支払いを求められるので、資金力がないと利用が難しいかもしれません。
また、自己申告によって、車の価値に応じた金額を支払う必要がありますが、申告した金額が低すぎると、ローン会社から異議を出されてしまいます。
その場合には、裁判所が評価人を立て、改めて車の価値が決められますが、もし、申告した金額より高い評価額になった場合には、評価人の費用も支払わなくてはなりません。
自己申告ではありますが、適切な金額を申告しないと痛い目にあってしまうでしょう。
ちなみに、個人再生には換価処分がないから、ローンのない車は処分される事がないよ。
ただし、車に価値がある場合には、その分、返済額も増えてしまう場合があるけど。
⇒個人再生後の返済額の決まり方
自己破産後に車を所有するには
自己破産や個人再生を利用すると、最長で10年間、信用情報には事故情報が残り、いわゆるブラックリスト状態となってしまいます。※任意整理は5年
基本的に全てのお金を借りる手段で信用情報が確認されるため、『事故情報=借金が禁止される』というわけではないものの、かなりの確率で審査に通らないでしょう。
そのため、自己破産後に車を購入しようとしても、ローンを組むのは困難という事になります。
もちろん、車を所有すること自体は問題ないので一括で支払える場合には問題なく購入可能。
ただ、自己破産後に一括での購入は難しいかと思いますので、独自ローンを提供しているディーラーなどを探すのが有効になるかもしれません。
独自にローンを提供している場合には、審査基準が通常と異なるため事故情報が残っていても審査に通る可能性が十分考えられます。
まとめ
以上のように、基本的にリース車・残価設定ローンの車は、自己破産をするとリース会社やディーラー(ローン会社)によって車を引き上げられてしまう事になります。
リース車や残価設定ローンは非常に魅力的な仕組みかもしれませんが、提供する側の会社が損失を出さないような仕組みになっており、それを避けるのは困難です。
しかし、自己破産を検討している人は、いずれにしても、そのままで過ごすわけにもいきませんので、何かしら行動をしなくてはなりません。
その第一歩として、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?
もしかしたら、自己破産をせずに個人再生で済むかもしれませんし、車を残す道も残っているかもしれません。
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