自己破産には借金が全て無くなる(一部免責にならないものもある)という強い効力がありますが、換価処分があり、抱えている財産を処分する必要があります。当然、家族への影響も大きくなってしまいます。
また、個人間の借金も自己破産の対象となるため、友人や会社の同僚からの借金など、人間関係を崩さないためにも何とか返済したいと考えているような借金まで帳消しとなります。
こういった効力から、「なんとか自己破産を避けたい」と考えている人は少なくないかと思います。
今回は、実際に自己破産を避ける事はできるのか、あるいは、自己破産をするとしても影響を軽減する事は可能なのか、という点を確認してみましょう。
確かに、自己破産の影響は大きいから、借金がなくなるのは嬉しいけど、できれば避けたいと考える人も少なくないよね。
自己破産は借金が全く返済できない、支払不可といった場合に利用する方法だから、それに該当する場合は、デメリットは大きくても基本的には自己破産をした方がいいという事になってしまう。
でも、自己破産しかないと考えていても案外、個人再生で済むケースもあるし、個人間の借金に関しては、余裕がでてから個人的に返済するという事も可能。何にしてもそのままの状況を放置せずに債務整理を検討した方がいいかな。
滞納が続くと遅延損害金も高額になってしまうからね。
自己破産の利用条件は支払不可
『借金が返済できない=自己破産が必要』と考える人も少なくありませんが、自己破産は債務整理の中で最も効力が強い方法で、利用条件は『支払不可』。借金が返済できない場合の最終手段です。
支払不可に該当しない場合には、個人再生や任意整理など、自己破産に比べて効力が弱い分、デメリットの少ない方法を利用する事になります。
当然、現段階では返済しきれないから自己破産を検討しているかと思いますが、ここで言う支払不可とは、任意整理や個人再生を利用しても返済しきれないかということ。
任意整理や個人再生もそのままでは返済しきれない状況で使う事には変わりがありませんので、これらの方法で解決する可能性もあります。
実際、任意整理で借金を整理する人は自己破産の10倍以上とされており、利用者数は圧倒的に多い方法。
個人再生は利用条件がやや複雑ですので利用人数が自己破産よりは少ないのですが、それでも自己破産を避ける手段としてはとても有効です。
任意整理と個人再生のそれぞれの効力
任意整理の効力は、経過分の利息や遅延損害金をカットしたうえで、将来分の利息もなしで残りの借金を3〜5年で返済するというもの。手続きは1社づつ、返済が難しい借金のみを選んで整理可能です。
任意整理は債権者に直接交渉する方法となるため、これらの効力はあくまでも標準的なもので異なる場合もあります。しかし、金利のカットがされる事は多いので高金利の借金で悩んでいる場合には有効になる可能性が高いです。
個人で直接交渉するケースもありますが、不利な条件を出される可能性が高いので弁護士に依頼するのが一般的となっています。
個人再生の効力は、借金の総額に応じて以下の最低弁済額が決まります。(住宅ローン特則を利用する場合は住宅ローンを含まない)
①100万円未満…もともとの借金を全て返済
②100万円以上〜500万円以下…100万円を返済
③500万円超〜1,500万円以下…5分の1を返済
④1,500万円超〜3,000万円以下…300万円を返済
⑤3,000万円超…5,000万円以下…10分の1を返済
⑥5,000万円超…個人再生の利用不可
そして、それとは別に抱えている財産の価値(清算価値)を算出し、最低弁済額と比較していずれか高額な方が個人再生後の返済額として決まります。
財産が少ない場合には、最大で借金が10分の1まで減額されますので、自己破産を回避できる可能性が非常に高まるかと思います。
自己破産を回避!有効になるのは個人再生?デメリットがどう軽減するのか
債務整理には自己破産・個人再生・任意整理の3種類がありますが、自己破産に効力が近いのは個人再生となります。
自己破産を検討する段階の場合には、任意整理では対応できない可能性が高く、多くのケースで個人再生を検討する事になるでしょう。
では、個人再生を利用した場合、自己破産と状況がどう異なるのか?
まず、個人再生には換価処分がありませんので裁判所に財産を処分されるという事がありません。
自分名義の家や土地、車、有価証券、返戻金のある保険などは全て残せます。
ただ、その一方でこれらの価値に応じた金額を返済する必要があるので、影響がゼロというわけではないのでその点は注意が必要です。
また、自動車ローンで所有者留保になっている場合は、そのローンも個人再生の対象となるため、自動車はローン会社に引き上げられてしまいます。
換価処分ではないものの財産を失う可能性もあるという事です。
住宅ローンに関しては特則により個人再生の対象から外す事が認められていますが、当然、ローンの支払いは従来通り続ける必要があります。
また、住宅の残存価値によっては清算価値に含まれてしまうので個人再生後の返済額が増えてしまうかもしれません。
個人間の借金に関しては、個人再生に関しても整理の対象です。減額幅は一律で優先して個人間だけ多く返済することは認められません。(ただし、対応策もあります※後述で解説)
以上のように、特に換価処分がないという点が大きな違いとなっています。家族への影響も最小限で済む事になるでしょう。
弁護士によって個人再生にできるかの判断が異なる事も多い
債務整理をする場合、法律事務所に相談することになりますが判断は事務所ごとに異なるケースがあります。
A社では「自己破産をするしかない」と判断しても、B社では「個人再生が利用できる」と判断するかもしれないのです。
そのため、「法律事務所で自己破産を勧められたから、やっぱり自己破産をするしかない」と考えずに、複数の法律事務所に相談するようにしてみましょう。
良い法律事務所は、借金で悩んでいる人の気持ちを考えて方針を決めてくれます。
ただし、個人再生は『収入があること』が利用条件となるので無職・無収入の場合には利用できません。
もし、それに該当する場合は、アルバイト等でも構いませんので収入を確保しましょう。
どの程度の収入が必要かは人によって異なりますが、「生活費でいっぱいいっぱい」という状況ではなく、個人再生後の返済の見通しが立つ程度の収入が理想です。
弁護士が個人再生を受任すると、受任通知が債権者に出される。
それを債権者が受け取ったあとは取り立てが一切なくなるし、手続き完了まで返済を再開する必要もない。
今現在、借金の返済を含めていっぱいいっぱいでも、一旦返済については考慮に入れる必要がないかな。純粋に生活費にプラスαが稼げるかが重要になってくるよ。
個人間の借金は余裕がでてから返済するという方法も
自己破産だけでなく個人再生でも借金を選んで整理できないため、個人間の借金も整理の対象となってしまいます。
個人間の借金が理由で債務整理に踏み出せないケースも多いかもしれませんが、借金が返済できない以上、その状態を続けるのはさらに追い込まれる事になりメリットがありません。
そのため、債務整理を必要としている以上は早い段階で債務整理をするようにしましょう。
債務整理(自己破産・個人再生)をすることで個人間の借金も免責もしくは減額となりますが、これは借金の仕組みとして国が認めていることですので仕方のないことです。本来は貸す側もそういった事を理解した上で貸さなくてはなりません。
しかし、個人間では“信用”をもとに貸す事が多いので、こういった国のルールまで気にして貸す人はほとんどいないのが現状。そして、“信用”をもとに借りていただけに、返せない側にも重くのしかかってしまいます。
こういった場合には、債務整理の手続き完了後に、お金の余裕がでてから個人的に返済するという方法が有効になるかもしれません。
自己破産や個人再生では債権者平等の原則が働くため、個人間の借金も整理の対象になってしまう事は仕方ありませんが、手続き後に個人的に返済するのは自由です。
相手側には請求する権限がありませんので、債務整理を利用するあなた自信から相手側にそういった旨を伝えましょう。
お金を返済できていないうちは信頼関係を戻すのが困難かと思いますが、債務整理をした後でもちゃんと返済したのであれば再び元の関係に戻れるかもしれません。
自己破産後に恨まれるようなケースもありますが、返済するのであればその心配もないでしょう。
今現在は返済の目処が立たないかもしれませんが、自己破産によって借金が全て免責になるのであれば、いずれ余裕が出てくる事もあるでしょう。長い目で見て検討してみて下さい。
まとめ
以上のように自己破産をしたくない理由として多いことでも、それらを回避できる可能性や軽減できる可能性があります。
いずれにしても、借金の返済が困難な場合には法律事務所に相談してみましょう。状況に応じた最善の方法が見つかるはずです。
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