任意整理など家族への影響が少なく済む債務整理の場合は、同居の家族にも内緒にしたまま手続き可能ですし、実際、話さないまま手続きを済ませる人が多くいます。
しかし、自己破産に関しては、やや隠すことへのハードルが上がります。
家計収支表が配偶者の手伝いなく作成可能か?
換価処分で家を失う事にならないのか?
など。ただ、逆に言うと、ハードルがあるもののこれらをクリアできるのであれば隠したまま自己破産を済ませる事も可能となります。
自己破産は同居の家族に内緒でできないってイメージがあったけど、場合によっては隠して手続きを済ませる事も可能なんだね。
基本的に、自己破産は家族に隠さず正直に話した方がいいかと思うけど、どうしても話せない事情がある場合は隠して手続きをする人もいるよ。
ただ、ハードルが高いし、弁護士が隠す事に協力的である事が大前提に必要かな。
具体的にはどういったハードルがあるの?
自己破産には財産が換価処分される管財事件と財産が処分されない同時廃止事件の2種類があるけど、前者の換価処分がある管財事件の場合は、家や車、ブランド品や返戻金のある保険などを処分されるから家族に隠し通すというのは困難になる。(名義が破産者自身の財産)
同時廃止事件の場合は、そういった処分がないから家族への影響も少ないから隠しやすいかな。
あとは、裁判所によっては配偶者の収入証明書が必要になる事もあるから、そういったものを破産者側が管理していて簡単に手に入るならいいけど、用意できない場合は苦労すると思う。
ちなみに、大阪地裁では配偶者の収入証明書が必要で、東京地裁では必要ない。
家や車を持っている場合は、それが夫婦のどちらの名義になっているかで、自己破産のしやすさが変わってきそうだね。
確か家計簿のようなものも提出したよね?
家計収支表のことだね。
家計収支表に関しては、世帯全員分で作成する必要があるから、配偶者の協力を得ないで作成できるかが重要になってくるね。
1,司法書士ではなく弁護士への依頼がおすすめ。また、弁護士を味方につける事も重要
自己破産をする場合、司法書士か弁護士に依頼することになりますが、同居の家族に隠して手続きをしたい場合は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士の場合は代理人として裁判所とのやり取りが可能ですが、司法書士の場合は書類作成代行のみが可能で裁判所とのやり取りを自分でおこなう必要があり、裁判所から届く書類なども自宅に届いてしまいます。
支払う費用は弁護士の方が高くなりますが、同居の家族にバレたくない場合には弁護士に依頼した方がいいでしょう。
また、弁護士に“同居の家族に内緒にしたい”という事を理解してもらう事も重要になってきます。
特定の時間を避けて連絡をしてもらったり、法律事務所の名前が入っていない封筒を使って必要書類を送ってもらうなど、バレにくい環境を作ってもらえるはずです。
もちろん、弁護士側が配偶者にバレない事を約束してくれるわけではありませんが、配偶者にバレたくないという事を理解してくれる弁護士に依頼するのは必須になってくるでしょう。
送達場所の届出をすることで、裁判所からの郵便物を司法書士事務所にする事が可能になります。
民事訴訟法に定められているものですが、自己破産は民事訴訟法の規定を準用するとしていますので、司法書士側が承諾するのであれば、こういった方法を利用する事も可能です。
2,裁判所によっては配偶者の収入証明書が必要
裁判所によって異なりますが、家計収支表に添付する形で配偶者の収入証明書を必要とする場合があります。
具体的には、2ヶ月分の給与明細(コピー)など。
配偶者が個人事業主の場合には確定申告書などが代わりとなります。
こういった収入に関する書類の保管場所を知っている、もしくは管理している立場の場合は比較的用意しやすいかと思いますが、どこにあるか知らない場合などは入手のハードルが高くなってしまうかもしれません。
ちなみに、最も利用する人が多い東京地裁はこれらの書類を必要とせず、破産者本人のみの給与明細などを用意するだけでOKです。
次に利用する人が多い大阪地裁や名古屋地裁に関しては、配偶者の収入情報も必要とします。
詳しくは代理人の弁護士に確認してみましょう。
収入証明書として有効なもの
- 給与明細…勤務先で発行
- 源泉徴収票…勤務先で発行
- 所得証明書…役所
- 課税証明書…役所
- 確定申告書…コピーもしくは原本を自分で保管
3,家計収支表の作成が必要
自己破産の手続きでは、申立前までの2ヶ月間の収支状況を表にして提出する必要があります。
家計を把握している立場の場合は比較的作成しやすいかもしれませんが、そうでない場合は作成するのに苦労してしまうかもしれません。

※型式は裁判所によって異なる場合がありますので、詳しくは代理人弁護士に確認しましょう
ポイントとなるのは、世帯全員の収支を記入する必要があるという事です。
もし、妻に全て任せているという会社員の夫が内緒で破産する場合は、こういった項目が最もネックになってくるかもしれません。
食費や衣類など日用品に関してはレシートを保管している人も少ないため、レシートの添付までは必要とされませんが、ガスや電気料金、家賃など領収書が残っている可能性が高いものや高額なものはその証明として領収書を必要とする場合があります。
詳しくは以下の記事を確認してみましょう。
4,配偶者名義の通帳のコピーを必要とするケースもある
基本的な考え方は、自己破産は個人で行うもので配偶者であっても配偶者の財産には影響を与えません。
そのため、通帳に関しても破産者本人の名義のものだけが必要で、破産者の夫や妻の名義の通帳を必要としないのが基本的な考え方です。
しかし、例外的に配偶者の通帳のコピーを必要とするケースもあります。
それは、保険料や水道光熱費など破産者本人も関係しているであろう支払いが配偶者の口座からされている場合です。
配偶者の情報を確認したいわけではなく、あくまでも破産者の情報の一部として確認する作業ですが、コピーで問題ないとはいえ通帳の場所を知らない場合などにはやや入手が困難かもしれません。
5,管財事件に該当する場合は隠すのが難しくなる
財産が一定の価値を超える場合は同時廃止事件ではなく管財事件となり、財産の処分をされる事になります。
もし、家や土地の名義が破産者の場合は、それらの処分をされることになるので、配偶者に隠し通すのは不可能となるでしょう。
一方、預金が20万円以上などの理由で管財事件になる場合は、管財事件でも隠せる可能性があります。
また、財産が少なくても、免責不許可事由に該当する場合は管財人の調査を必要とするため管財事件にする必要があります。
管財人によっては、自宅に電話をしてくるケースもありますし、配偶者と直接話す機会が欲しいとする場合も考えられます。
管財人への非協力的な対応は免責が不許可になる可能性を高めるので、こういった要望にはできるだけ応えた方がいいでしょう。
そのため、管財人次第でも配偶者や同居者へ隠し通すのが困難になる事があります。
郵便物に関しても、破産者宛のものは管財人に転送され内容を確認される事になります。これは所得隠しなどがないか確認するためのものですが、郵便物が届かなくなるという事を配偶者が不自然に感じるかもしれません。
また、転送された郵便物は一定期間分まとめて管財人から自宅に届けられる事になりますが、その郵便物には『管財人からの郵送で転送不要』という文書が赤字で記載されます。
『管財人』という言葉を知らない人も多いかもしれませんが、さすがにそれを見た場合は、ただならぬ状況を察してしまうでしょう。
管財事件になる場合は、こういった点もしっかり把握し注意する必要があります。
6,個人間の借金も免責の対象
自己破産の効力は借金が免責になり、実質、借金が0になるというものですが、その効力は個人間の借金に対しても有効です。
例えば、配偶者と共通の知人から借金をしている場合や親族から借金をしている場合など。
こういった関係で借金をしていると、自己破産した事が配偶者に伝わってしまう可能性が少なくないはずです。
かといって、優先して返済する行為は偏頗弁済に該当し免責不許可事由となってしまいます。
対処法としては、自己破産後に個人的に返済するなどが有効になる事がありますが、それ以前に、自己破産への理解を得て、配偶者に伝わらないようにしておく必要があります。
7,官報への掲載
自己破産をすると国が発行する機関紙の『官報』に名前が記載されます。
一般に普及しているものではありませんので、確認される事はほとんどありませんが、銀行関連や法律関連など官報の情報を利用する機会の多い職種の人が身近にいる場合は、官報からバレてしまう可能性も考えられます。
どういった判断が最善かよく考えた行動が重要
自己破産を同居の家族に隠しておこなう人もいますが、ここで紹介したようなハードルがあるため隠すのが難しいケースも少なくありません。
また、隠れて自己破産することが最善なのかも改めて考えてみた方がいいでしょう。
真剣に話しをすれば理解してもらえることも少なくないかと思いますし、家族の力を借りる事で自己破産を避ける選択肢がみつかるかもしれません。もちろん、「真剣に話せば必ず許してもらえる」なんて無責任な事は言えませんが…
ちなみに、自己破産をした事は法的離婚事由とはなりませんが、夫婦間でギクシャクするのは目に見えていることです。その点も最初から伝えておいた方が信頼関係が崩れる事なく今後に繋がるように感じます。
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