多くの場合、住宅ローンは30年など長期に渡る返済が必要です。
そのため、働き続けている事を想定してローンを組むわけですが、時には、会社が倒産してしまったり、早期退職をせざるを得ない状況になってしまったりと、安定した収入が入ってこなくなる事も少なくありません。
安定した収入が無くなると、ローンの支払いは重くのしかかってしまいますね…。
しかし、かといって、念願の住宅を手放すという判断も簡単にはできません。
そこで必要になってくるのが、『任意売却や競売によって住宅を手放すことなく債務を整理する』という事。
どういった方法で住宅を手放さずに済むのか確認してみましょう。
住宅を手放さない3つの債務整理方法
住宅を手放さないで債務整理をする方法は大きく分けて以下の3種類。
- 他の債務の支払い方法の見直しと利息のカット
- 他の債務を減額して支払い
- 第三者の協力を得て住宅を残す
どの方法が適切かは、ローンの支払い能力によって異なってきます。
今回は、比較的、支払い能力があるケースから順に説明します。
任意整理で住宅を残す
任意整理とは債務整理の一つの手段で、利息や遅延損害金などをカットしたうえで、毎月の支払いを無理のない金額に変更し、元金は全て返済するという方法です。
任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士など代理人を通し債権者と直接交渉、同意を得て和解書が作られます。
そのため、債務先には一件づつ交渉する事になり、債務先を選択しながら交渉する事も可能です。(A社には利息カットなどをお願いしてB社にはこれまで通り返済するなど)
そして、この方法で住宅を残すには住宅ローンを任意整理の対象から外す必要があります。
住宅ローンを債務整理しない事によって住宅を残す事が可能となるのです。
住宅ローンを対象から外すので、住宅ローンは従来通り返済する必要があります。
支払う事を約束した上で、ローンを組み家を買っているので仕方ありません…。
他の債務が多い場合は、この方法でも大きな効力を発揮する可能性が十分考えられます。
特に消費者金融など高金利での借金が多い場合は、利息のカットだけでも100万円ほどの返済が減額になる事も。
仮に、200万円を18%の金利で借り、毎月5万円返済した場合。
返済期間は5年2ヶ月にもなり、最終的な返済額は3,077,200円で、実に100万円以上の利息を支払う事になります。
任意整理をした場合は、この100万円以上の利息がカットされるという事です。
これだけ支払いが減額されると、住宅ローンを含めて考えても返済が可能となる方も多いのではないでしょうか?
住宅を手放さない債務整理として、まず最初に検討したい方法です。
個人再生(民事再生)で住宅を残す方法
前項の方法では返済が大きく変わらないという場合は、『個人再生』を検討する必要があります。
そのため、債権者の同意を必要とせず、債務先を選択して整理するといった事もできません。
個人再生は、債務の総額を5分の1(もしくは、100万円)にまで減額して返済するという方法で、任意整理と異なり元金も含めた債務が大幅に減る事になります。
任意整理と異なり、整理する債務を選択できませんが、住宅資金貸付債権に関する住宅ローン特則により、住宅ローンのみ除外して債務整理する事が可能です。
そして、住宅ローンを除外した場合は、住宅ローンをそのまま払い続けるかわりに、これまで通り住み続ける事ができるのです。
債務整理は、大きく分けると、
- 任意整理・・・利息のカットと支払い方法の変更
- 個人再生・・・債務を5分の1に減額
- 自己破産・・・債務を全額免責
これらの3種類です。
自己破産では全ての債務が免責(無くなる)となり、返済する必要がなくなりますが、そのかわり、住宅を含めた資産は基本的に処分しなくてはなりません。
そのため、住宅を残して債務整理をする場合、最も効力が大きくなるのが『個人再生』という事になるのです。
「離職した状態では借金が減っても返済できるわけがない…」
と考えてしまうかもしれませんが、ずっと無収入という事はないはずです。
再就職を検討しているかと思いますし、住宅ローンと他の債務を減額した状態ならアルバイト等でもしばらくはしのげる事もあるかと思います。
それに、個人再生を申し立てると、減額が決定するまでの間、住宅ローン以外の返済が止まります。
それだけでも、大きな効果があるはずです。
また、住宅ローンの返済が数ヶ月滞ったからといって、基本的にいきなり競売にかけられるような事はありません。
もちろん、督促は届くかとは思いますが強制執行には一定の時間がかかるものです。
言い切る事はできませんが、1、2ヶ月程度であればさほど影響もないでしょう。
その間に仕事を決めて生活を立て直す事は十分できるはずです。
その後、余裕ができた場合は、滞納した分を含め早めの返済を心がけましょう。
【任意整理と個人再生の大きな違い】
どちらも住宅を残せるのなら債務が5分の1まで減る個人再生の方がいいのでは?
という事になりますが、任意整理には債務の整理先を選択できるというメリットがあるので、この差も人によっては大きいものとなります。
例えば、自動車ローンを組んでいる場合は、自動車ローンを整理しない事によって車を残す事が可能です。
一方、個人再生は住宅資金貸付債権に関する住宅ローン特則により住宅ローンは除外できるものの他の債務は全て合算された上で減額されますので、自動車ローンを組んでいる場合は基本的に手放す事になります。
他の債務がない場合は、第三者の協力を得る事で住宅を残せる
任意整理と個人再生で住宅を残す方法を紹介しましたが、いずれの方法も他の債務がある事が前提で毎月の支払いが減るというものです。
そのため、他の債務がない場合は効力を発揮できません。
あるいは、新しい仕事が見つかっても住宅ローンの返済が難しいという場合もあまり有効ではありません。
しかし、住宅ローンを債務整理した場合は、競売の対象です。
ローンを支払えない場合は、上手く逃れる事もできないのです。
もし、これらの方法が有効でない場合に住宅を残すには、第三者(親族など)に協力してもらう必要があります。
方法としては2種類。
- 住宅ローンを第三者に支払ってもらう
- 住宅そのものを第三者に買い取ってもらう
住宅ローンを支払ってもらうのは、第三者に新たな借金を作ることになりますが、それでも競売にかけられる事はないので住み続ける事が可能です。
再就職するまでの一時しのぎにはなるはずです。
買い取ってもらう場合は、売って得たお金を住宅ローンに充てて返済する事になります。
住宅の名義は第三者に移る事になりますが、あくまでも、売った後も住み続ける事が前提で売るのでその旨を了承及び契約しておきましょう。
そして、いずれお金に余裕が出てきたら買い戻す必要もあります。
このケースで重要になってくるのは“信用できる人に売る”という事。親や兄弟、叔父、叔母など身近な人が理想です。
というのも、住宅の所有権が住宅を買った人に移るので、その所有権を買った人がさらに売るという事も可能になってしまい、万が一、そのような事が起こると住み続ける事も難しくなってしまうのです。
そうならないように相当信用できる人に事情を説明して理解を得た上で買い取ってもらう必要があります。
債務整理をした場合は新たな借金やローン、クレジットカードの発行ができない
債務整理をした場合、信用情報に事故情報が残る事になります。
金融機関は、借金やローンの審査をする際にこの信用情報を確認するので新たに融資を受けたりローンを組む事は基本的にできません。
また、クレジットカードに関しても、お金の立て替え及びお金を借りるためのものなので発行ができなくなります。
これまで持っていたクレジットカードも基本的に使えません。
これは、任意整理をした場合も個人再生をした場合も同じです。
ただし、事故情報はずっと残るものではなく、5〜10年後には消えます。
その後はこれまで通りローンを組んだりカードを発行する事も可能となります。
人によっては厳しい制限かもしれませんが、一度借金を返済できなくなった以上、仕方ないルールとして考えておく必要があるでしょう。
ちなみに、債務整理を選択せずに第三者の協力のもと、住宅を残した場合は、信用情報には影響を与えないので、事故情報も残りません。
そのため、従来通りローンも組めますし、クレジットカードの発行も可能です(もちろん、再就職などで収入の確保が必要ですが)。
いずれにしても、プロに相談!
ローンの返済問題は個人で考えてもなかなか正確な判断ができません。
任意整理で済むと思っていたものが個人再生の方が適切だったり、その逆もあるでしょう。
債務整理は、『選択する』というより、必要に応じて『選ばれる』という要素の方が強くなります。
そのため、まずは、借金問題のプロである法律事務所に相談をしてみましょう。
特に、収入がない状況では先延ばしにするほど状況が悪くなります。
少しの判断の遅れで家を手放す事になってしまうかもしれません。
また、債務整理ではなく、第三者に売る場合でも同じです。
やはり個人間のやり取りではなく、法律事務所で正式な取り決めをしてから売買契約をしましょう。
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