「失業して住宅ローンの返済ができない」あるいは、「給料が下がって返済が難しい」など、住宅ローンの返済がスムーズにいかないケースは少なくありません。
契約当初は先々も返済可能という目算が立てられるものですが、数十年という長期間の返済期間の中ではさまざまな変化があり時には返済が難しくなるのも仕方のない事です。
こういった時にはどのような有効な手段があるのか?せっかく購入したマイホームを手放さない方法を確認してみましょう。
債務整理の前に確認しておきたいこと
借金の返済が難しい時は、『債務整理』をすることによって借金を整理する事が可能です。
しかし、債務整理には少なからずデメリットもありますので、債務整理を検討する前にやっておくべき事を確認しておきましょう。
人によっては、債務整理をせずに住宅ローン問題が解決するかもしれません。
住宅ローンのリスケジュール
100%通る方法ではありませんが、現在の返済額が無理でも返済額を見直す(返済期間を伸ばすなど)事によって返済ができる場合は、その旨を住宅ローンを組んでいる銀行に伝え、返済計画の見直し(リスケジュール)を検討してみましょう。
銀行にとって重要なのは『貸したお金が返済されること』。
たとえ、当初の契約より月々の返済額が減ったとしても、最終的に全額返済される内容であれば応じてくれる可能性があります。
ローンの保証内容を確認
ローンの契約をする際に『失業保証』を付けていると、失業後一定期間の返済が免除されます。
一定期間は契約内容によって若干の違いがあるものの、基本的に半年ほど。その間に再就職できれば滞りなくローンの返済ができるかもしれません。
失業保証は、任意で選択する項目で、保証を付けるのに一定のお金を必要とするため付けていない人も多いかもしれません。
ただ、ローン契約を組んだのが相当古い場合は、『失業保証を付けていないつもりだったけど、確認してみたら付いていた』といった事もあり得ます。
いずれにしても、失業をした場合は、保証内容を確認してみましょう。
ローンの組み直し
失業した状態では組み直す事も難しいのですが、給料が下がって返済が難しいという場合には有効な手段です。
現在は極端な低金利時代に突入しており、金利が高かった10年前や20年前に組んだローンに比べて圧倒的に総返済額が少なくなる計算になります。
返済が難しくない人でもローンの組み直しを選択するケースは少なくありません。総返済額が減るわけですから当然の判断ですね。
滞納が続くとどうなる?競売までの期間
滞納が続いた場合に恐いのが『差し押さえ』『競売』。
これらは、強制的に家を手放すということ。これでは、長年返済してきたローンも無駄になってしまいます。
気になるのは、『どの程度の期間、滞納したらこれらの処分がされるのか』という事ですが、その目安は『6ヶ月』と考えて下さい。
6ヶ月返済が滞ると、『期限の利益』を喪失したという扱いになり、従来の分割払いではなく一括での支払いが求められるようになります。
当然、分割で支払えない中で一括払いができるわけもありませんから、その後、競売にかけられる流れとなります。
『期限の利益』を喪失した地点で、かなり厳しい立場になると考えて下さい。どれだけ返済が難しい状況でも6ヶ月の未払いは防ぎたいところです。
残った債務は返済が求められる
「家が競売にかけられた地点で住宅ローン問題は終わり」と思われがちですが、競売で得られたお金でも返済し切れない場合は、債務がまだ残った状態となるので、再び返済を求められることになります(競売後の残債務の返済義務)。
家を失った上に、まだ借金を背負った状態となるのです。
そのため、少しでも高く売るために、『競売』ではなく、自らの意思で売る『任意売却』を選択する事も重要になってきます。
【銀行側は任意売却を求めてくる】
多くの場合、競売にかけられた家は、相場の半分ほどで取引されることになりますので、それを防ぐために、債務者自らの判断で売却する『任意売却』を銀行(債権者)に勧められます。
任意売却は、競売に比べて適正価格で売れるので、残債務を残さないで処分できる可能性が高まります。
債務整理で住宅ローン問題を解決するには
借金の返済ができない場合は、法律上のルールに基づいて、借金問題を解決する『債務整理』も有効な手段となってきます。
しかし、住宅を残して債務整理をするには、『住宅ローンは残して返済する』という事が必要です。
ただ、それでも債務整理が有効な手段になってくる事は少なくありません。
債務整理の3つの手段の特徴と、それぞれが住宅ローンに与える影響を確認してみましょう。
任意整理を選択するには
元金の返済が必要になるなど一定の返済をするため、その分、債務先を選択できるなど自由度の高い債務整理手段となっています。
月々の返済が5年以下となるので、住宅ローンに任意整理を使う事はまずありません。そもそも、住宅ローンを任意整理すると住宅を手放すことになります。
そのため、住宅ローン以外の借金もあり、それらを任意整理することで住宅ローンを含めて返済可能となる場合に有効な手段となります。
特に有効なのは消費者金融やカードローンなど高金利での借金。利息がカットされるので、任意整理によって大きく返済額が減る事になります。
また、日本貸金業協会の自主規制によって、消費者金融など高金利での借金は返済期間が5年以内となっていますので、利息をカットしたうえで、再び5年での返済契約をすれば確実に月々の返済が減ります。
「離職でお金が足りず住宅ローンの返済に充てるために消費者金融から借金をしたものの、現在は再就職をして住宅ローンと利息のない消費者金融への返済なら可能」
このようなケースでは任意整理がかなり有効になってくるでしょう。
個人再生を選択するには
任意整理のように債務先を選択して整理するといった事はできませんが、
唯一、例外として住宅資金貸付債権に関する住宅ローン特則により住宅ローンのみ個人再生から除外が認められています。
除外した場合、住宅ローンは従来通り支払う必要がありますが、住宅を手放す必要がなくなります。
また、個人再生の手続きを申し立てすると、住宅ローン以外の借金の返済が一時的にストップします。裁判所では返済方法が見直されるので、決定の判断がでるまで返済する必要がないのです。
こういった返済額が少ない期間も生活を立て直すチャンスとなるでしょう。
「どちらも住宅を残せるのなら元金を含めて減額になる個人再生の方がいいのでは?」という疑問が浮かぶかもしれませんが、
個人再生は、債務先を選ぶ事ができませんので、自動車ローンや知人・友人への借金を含めて全てが5分の1に減額されてしまいます。
多くの場合、自動車ローンを返済している間は車の所有者が信託会社などになっています。
その状態で債務整理をすると車の引き渡しを求められることになります。
効力が大きい分、デメリットも大きくなってしまうのです。
こういった点を考慮に入れても個人再生の方がいいという場合は有効な手段になるでしょう。また、いずれにしても任意整理では意味がないという場合は個人再生をしなくてはなりません。
自己破産は家を手放すことに
個人再生と同じく、裁判所に申立をして手続きが進みます。債権者側の同意に関係なく、債務が全て無くなる最も効力の強い債務整理の手段です。
自己破産以外の債務整理では住宅を残す事ができましたが、自己破産は、住宅ローンを組んでいる時だけでなく、組んでいない時でも住宅を処分しなくてはなりません。
その他にも、時価20万円以上の車や、返戻金のある生命保険なども処分の対象です。自己破産は、全ての借金が無くなるかわりに、価値のある財産を全て処分する必要があるのです。
【免責不許可事由】
- 浪費
- 賭博その他の射幸行為
これらは免責不許可事由に該当します。しかし、実際には裁判官の裁量によって不許可事由に該当しても許可が認められる事が多くなっています(裁量免責)。
こういった事情から、「住宅を残してローンをなんとかしたい…」と考えている人には自己破産は適していません。
しかし、債務が5分の1になっても返済できないという場合は、自己破産を選択する必要性がでてくるかもしれません。
住宅を競売にかけない方法まとめ
住宅ローンの返済ができないのは深刻な状況です。
住宅ローンのリスケジュールやローンの見直しをして、それでも返済が難しい場合は、債務整理を検討する必要があります。
しかし、住宅ローンを除外して債務整理する必要があるので、他に借金がない場合は有効な手段とはなりません。
それでも、住宅を残したい場合には、親族に住宅を買い取ってもらうか、ローンを代わりに支払ってもらう手段などを検討する必要がでてきます。
住宅は基本的に人生で1回の大きな買い物。できるだけ残す方向で進めたいところです。
もし、最善の方法が見出だせない場合は、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。
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