個人再生をすると官報という国が発行する機関紙にその情報が載ることになります。
普段、官報を耳にする機会や見る機会はあまりありませんが、法律関連の仕事をしている人や銀行や貸金業者などお金を貸すことを仕事としている企業には、必要不可欠な情報が載っている機関紙です。
また、官報は一般の人でも確認可能。官報そのものの購入も可能ですし、ネット閲覧などでも確認できます。
今回は、どういったタイミングで官報に掲載されるのか、また、どういった内容が記載されるのか、という部分を確認してみましょう。
個人再生すると、その情報が公開されてしまうってことなんだね。
そうなるね。
ややハードルに感じてしまうかもしれないけど、個人再生や自己破産は、その事実をだれでも確認できる状態になってしまう。
とはいっても、一般の人は官報という言葉すら知らないぐらいだし、そこから知られる事はほとんどないとは思うよ。
任意整理にはない個人再生のデメリット
個人再生は、基本的に元金の返済を必要とする任意整理では返済しきれない場合、私的和解が難しい場合などに利用される借金問題を改善する方法。
任意整理と異なり裁判所が間に入り、大幅な減額が認められる流れとなります。
再生計画決定後は、3年間にわたり減額後の借金を返済。自己破産と異なり、住宅など資産を残しながら経済的更生ができます。
もしくは、抱えている資産の価値に影響を受けて変動する
こういった大きなメリット・役割を果たす個人再生ですが、裁判所が関わる以上、そこには任意整理にないデメリットが生じます。
それが、『官報』への掲載です。
官報に掲載される理由
官報への掲載は、なにも『借金が減額になるんだから公開する』といった見せしめでも、抑止力の意味合いでもありません。
個人再生における官報掲載の意味合いは、『債権者が適切に手続きに参加できるため』というもの。
そのため、債権者の権限を侵害しないためにも、債務者の意思によって掲載を無くすということは一切認められません。
ちなみに、官報は国民に知らせるべき事柄を掲載するために作られています。
そのため、債務整理以外にも、国会に関する事項、会社の合併や決算、または会社の破産、国家試験の合格に関する情報など、一般に公告すべきことが掲載されます。
個人再生で官報に掲載される3つのタイミングと内容
個人再生で、官報に掲載されるのは以下の3つのタイミング。
なぜ、掲載されるのか、という意味も含めて確認してみましょう。
1回目 再生手続きを開始したタイミング
再生手続きを開始すると、名前や住所などが官報に掲載され『この人にお金を貸している場合は○月◯日までに申し出て下さい』と、債権者の届出を促します。
①住所
②名前
1,決定年月日時 ◯月◯日◯時
2,主文 再生債務者について小規模個人再生(給与所得者等再生)による再生手続を開始する
3,再生債権の届出期間 ◯月◯日まで
4,一般異議申述期間 ◯月◯日〜◯月◯日まで
こちらが実際に掲載される官報の内容。以下の2回でも住所と名前が掲載された上で、債権者への呼び掛けを行う内容となります。
住所は住民票の住所ですが、もし、住んでいる場所が別の場合は、その場所も居所として掲載されます。
名前に関しても通称がある場合、本名も含めて両方を併記。
2回目 書面決議もしくは意見聴取をするタイミング
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類がありますが、ここでは若干内容が異なっています。
小規模個人再生…書面決議に賛成か反対か期限までの回答を求める
給与所得者等再生…期限までに意見聴取をして書面の提出を求める
小規模個人再生では、債権額にして半分以上の反対があると認可されません。そのため、この段階では書面決議の回答を求めます。
個人の再生計画で積極的に反対意見を出す債権者もいませんが、場合によっては大口の債権者への根回しが必要です。
給与所得者等再生は、債権者の意見に関係なく利用可能。そのため、決議ではなく意見聴取に関する書面を求めることになります。
【小規模個人再生】
①住所
②名前
1,決議に付する再生計画案 ○月◯日付け再生計画案
2,再生計画案に対する回答期間 ○月◯日まで
回答期間は原則として決定から、2週間以上2ヶ月以下の範囲となります。
給与所得者等再生
①住所
②名前
1,意見聴取に付する再生計画案 ○月◯日付け再生計画案
2,書面で意見を述べることができる項目 民事再生法241条2項各号に定める事由
3,2の書面の提出期間 ◯月◯日まで
意見聴取の期間も原則、2週間以上2ヶ月以下となっています。
3回目 再生計画が認可されたタイミング
再生計画が認可されたタイミングで、その旨が官報で告示されます。
掲載後、2週間、反対意見が出なければそのまま確定です。基本的には確定されることになるでしょう。
①住所
②名前
1,主文 本件再生計画を認可する
2,理由の要旨 ◯月◯日までの意見聴取期間が経過した再生計画には、民事再生法に定める不認可の決定をすべき事由はない
回りくどい言い回しになっていますが、『不認可を決定する理由がない』という事は、再生計画が決定したという意味になっています。
どの程度の期間、官報の記録が残る?
官報への掲載は3回にわたり行われますが、その記録はどの程度残るのでしょうか?
これに関しては、記録が消える事はありません。一生残ってしまいます。
とはいっても、古い記録が重視される事は、ほとんどありませんし、確認される機会もまずないでしょう。
ですので、害のあることではないのですが…、それでも、消える事がないのは少し嫌ではありますね。ですが、消す方法もないのが現状です。
官報の確認方法。バレる可能性は?
各都道府県庁所在地には官報販売所があり、そこで誰でも購入可能です。また、定期購読する方法もあります。
行政機関の休日以外、毎日発行されており、購入できるのは基本的に当日分のみとなります。そのため、あなたの情報が掲載されてもタイムリーにその情報を知人が確認するという可能性はほとんどないはずです。
また、インターネットでも閲覧可能ですが、過去30日分までとなっており、確認される可能性はごく限定的です。
官報を定期的に確認するのはそれを必要とする業種(職種)に限られており、一般の人が利用する事はまずありません。
あなた自身、官報を読んだことがあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人がないはずです。
ちなみに、それ以上の過去の記録を確認する事も可能ですが、有料会員になるか大規模な図書館など限られた方法でしかできません。先ほどの、官報の記録は一生残るというのはこういった部分になります。
官報の掲載と今後の新しい借金との関係
銀行などの金融機関が官報を確認しているのであれば、今度新たなローンなどを組むのは難しそうだね…。
確かに、金融機関にとって官報は必要な情報だから確認はしているよ。でも、それをローンの参考にしているかといえば別問題。
官報の記録が一生ものだとしても、ローンはいずれできるようになる。
様々な形の借金・ローンがありますが、それらの審査を通すときに参考にされるのは、官報ではなく信用情報機関の事故情報です。
個人再生をした場合、信用情報には事故情報が残る事になるので、『事故情報=借金が禁止される』というわけではありませんが、基本的に新たな借金はできない状態となります。
しかし、この事故情報は官報と異なり一定のタイミングで消えます。
ですので、事故情報が消えた状態なら再び通常の審査を受ける事が可能で、新たな借金もできるようになります。
個人再生の場合、事故情報が残るのは最長で10年間。
ただし、事故情報が残るのは本人のみとなるので、どうしてもローンが組みたい場合などには、配偶者などの名義で審査を通すのも一つの手になってくるでしょう。
具体的な個人再生の事故情報が残る期間と事故情報が残っているかの確認方法はこちらの記事を参考にして下さい。
まとめ
以上が、個人再生で官報に掲載されるタイミングと、官報の意味合いです。
官報に掲載されない方法は何かないのかと、考えて調べている人もいるかもしれませんが、残念ながら個人再生を利用した場合、官報には必ず3回、個人情報が載ってしまいます。
住所も居所を含めて掲載されますし、通称なども掲載されます。
ただ、その一方で官報を確認するのは金融機関や貸金業者、法律事務所など限られた業種だけです。
ですので、そうそう官報から個人再生が知られる心配はないと言えるでしょう。
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