借金は返済を約束をした上で成り立つので、返済をするのが原則です。
しかし、収入の変化や連帯保証人で多額の借金を背負った場合など、時には、自力での返済が難しくなってしまう事もあるでしょう。
そういった時には、法律で決められた方法で債務状況を改善する必要があります。
それが、いわゆる『債務整理』となるわけです。
債務整理にはいくつかの方法がありますが、共通しているのは当事者同士で話し合いをしても解決が難しいという事で、多くの場合は弁護士や司法書士などの代理人を立てて解決する流れとなります。
ここで疑問に思うのは弁護士と司法書士にどういった違いがあるのか?という事。
先に簡潔な結論を言うと、
- 1件あたりの債務が大きい場合、もしくは地方裁判所の代理人は弁護士
- 債務が小さく、安く済ませられる可能性があるのが司法書士
少しややこしい言い回しですが、このような違いがあります。
具体的にどういった事なのか解説しますので、法律事務所に相談する前にこれらの違いを把握しておきましょう。
いずれも代理人の役割を果たす
債務整理は、大きく分けると、
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
これらの3種類がありますが、いずれの方法も弁護士や司法書士に依頼しなくても、自分自身で手続きする事が可能です。
しかし、実際に手続きをしようとした場合、
任意整理は、債権者(借金をしている金融機関など)に任意整理をしたい旨を伝えた上で取引履歴を取り寄せ、
取り寄せた取引履歴は出資法に基づく金利計算をされている事が多いので、それを利息制限法で計算し直し、
その上で、債権先と直接交渉をして利息のカットや月々の返済額の見直しをします。
個人再生や自己破産は、債権者に直接交渉するのではなく、裁判所に申し立てをして手続きを進めます。
そのため、直接交渉に比べて圧倒的に手間や用意する書類が多くなります。
例えば、自己破産で用意する書類関係は、
- 財産目録
- 陳述書
- 家計状況
- 債権者一覧
- 免責許可申立書
- 保険証
- 収入の証明書(源泉徴収票など)
- 通帳のコピー
- 生活保護を受けている場合は生活保護受給証明書
中には、簡単に用意できる書類もありますが、申立書など専門的な書類も少なくありません。
また、裁判所でのやり取りもスムーズに行うのは非常に困難でしょう。
このように普段はしない様々な作業を必要とするため、実際に自分自身で債務整理を行うのはあまり現実的ではありません。
手間や時間を多く要してしまい、その間にも借金の状況が悪化してしまうかもしれません。
状況が悪化してしまえば、任意整理で済んでいたものが個人再生に、個人再生で済んでいたものが自己破産へと繋がってしまいます。
一方、弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合は、受任してもらった地点で受任通知が債権者に届けられ、返済が一旦ストップしますし、取り立てもなくなります。
そして、任意整理での手続きや債権者への交渉、個人再生や自己破産の裁判所への申立(弁護士は代理で行えるが司法書士は少し異なる)など、これらの個人では難しい作業を行なってくれます。
弁護士と司法書士の役割は、債務整理という慣れない作業を代理・代行して進めてくれる役割を果たすという事です。
ただし、司法書士が担当できる法律業務は限られています。
案件によっては司法書士の担当できる法律業務外となってしまい債務整理を受任してもらえないケースもあります。
弁護士は、最難関ともされる司法試験に合格して司法研修所を卒業、そして弁護士会に所属。法曹と呼ばれる資格は、どんな訴訟の代理人でも務められる、言うなれば法律問題のプロフェッショナルです。
一方で、司法書士は司法書士試験合格後、司法書士会に所属。そして、メインの仕事は不動産や会社の登記となります。
ただ、司法書士も簡易裁判所で扱う事件であれば代理や法律文書の作成が可能とされています。
これらは個人の能力の有無ではなく、法律上、扱う事ができる業務が異なっているという事です。
司法書士の大きなメリットは費用が安く済む可能性があるという事
司法書士の担当できる法律業務が限られているのであれば、「司法書士ではなく最初から弁護士でいいのでは?」という疑問が浮かぶかと思います。
しかし、司法書士は料金が安く済む可能性があるというメリットがあるので、債務整理を必要とするお金のない状態では、結果として司法書士の方が適している場合もあります。
そもそも弁護士費用には決まった料金はなく、同じ業務内容でも法律事務所によって料金に若干の違いがあります。
しかし、『格安で引き受ける』という事はあまりしないのが現状で、多くの場合、標準報酬額前後の料金設定となっています。
債務整理をする人は、お金に余裕がないわけですから、『少しでも安く』と考え、司法書士に行き着くという事です。
ただし、費用面だけで法律事務所を選ぶのは避けた方がいいでしょう。
『餅は餅屋』で債務整理に力を入れており、実績のある法律事務所でないと適切な対応ができないかもしれません。
資格を持っているからといって、必ずしも債務整理のプロとは限らないのです。
司法書士には法律業務の制限がありますが、それは、訴訟の交渉、和解、訴訟代理権、法律相談は140万円以下に限るというものです(簡易裁判所の管轄)。
140万円に当てはめるのは債務額という事になりますが、合計ではなく個別の債務額となります。
1件あたり140万円を超える場合は司法書士の業務外になってしまうということです。
ただ、『140万円を超えた=司法書士に依頼ができない』という事ではなく、司法書士に指示をもらいながら自分で手続きするという方法もあります(代理してもらわなければOK(本人訴訟支援業務))。
手間はかかりますが、これでも弁護士に受任してもらうよりは安く済む事が多いようです。
また、個人再生や自己破産をする場合は、地方裁判所に申立する必要があるのでこれも簡易裁判所の管轄外です。
そのため、司法書士に依頼しても代理人になってもらう事はできず、申し立てから裁判官とのやりとりなど慣れない作業を全て自分で行わなくてはなりません(同じく本人訴訟支援業務)。
実質、司法書士が完全にサポートしてくれるのは、1件あたり140万円以下の任意整理という事です。
ただし、債務整理に力を入れている司法書士事務所では、弁護士と提携しているケースも少なくありません。
提携している場合は、司法書士事務所で対応してくれる場合もあります。(この場合は費用が高い事が多い)
弁護士のメリットは制限なく対応してもらえるという事
弁護士は全ての訴訟の代理人になる権限を持っていますので、金額の制限もなく、地方裁判所であっても問題なく代理人としてサポート可能です。
弁護士に依頼する最大のメリットはいずれの債務整理でもフルサポートしてもらえるという事。
また、代理人として直接対応してもらえるので債務整理にかかる時間も短く済む事が多くなっています。
例えば、東京地方裁判所で破産手続きをした場合、代理人になれない司法書士では少なくとも半年ほどの期間を必要としますが、弁護士なら即日面接制度を利用できるため、早ければ申し立てから3ヶ月ほどで手続きが完了します。
※地方裁判所によって異なる
弁護士は迅速な対応が難しい?
「弁護士は忙しいから対応に遅れる事がある」
こういった口コミを耳にする機会があります。確かに、昔は、弁護士を捕まえるのも一苦労という時代がありました。
しかし、ここ20年足らずで弁護士の人数は倍以上に増えています。
また、弁護士には専門としている分野があり、債務整理を依頼にするには債務整理を専門としている弁護士に依頼する必要がありますが、債務整理をする人の人数も減少傾向にあります。
※自己破産でみても、ここ10年で3分の1ほどに件数が減っている
弁護士の人数が増え債務整理をする人が減っているわけですから、仕事の依頼が可能な法曹は多くいますし、迅速に対応してもらえる可能性は高いと言えます。
先ほどのような口コミは、少し古い情報です。
弁護士と司法書士どちらに依頼するべき?
一長一短で、双方にメリット・デメリットがありますが、シンプルに、1件あたりが140万円以下の任意整理であれば司法書士に、それを超える金額の任意整理もしくは個人再生・自己破産をする場合は弁護士に相談するという考え方で問題ないかと思います。
「まだどの方法で債務整理をするべきか分からない」という人も多いかと思いますので、その場合は弁護士への相談をおすすめします。
いずれの手段で債務整理をする場合でもフルサポートで手続きをしてもらえます。
ちなみに、司法書士の人数は2万人ほどで、弁護士は3万5千人を超えています。
『弁護士』という言葉からハードルが高いようにも感じてしまいますが、現在は、弁護士が増えすぎて顧客を取り合っているのが現状です。
そのため、小さな案件でも快く受け入れてくれます。
また、手持ちのお金が少ない場合も、弁護士に依頼した方がいいでしょう。弁護士費用は分割にできる制度がありますので、即金を用意する必要がありません(法律事務所によりますが、債務整理に力を入れている事務所では分割や後払いを認めている事が多い)。
※先程はお金を持っていない時は司法書士と説明しましたが、それは即金で支払う場合です。
手続きにかかる費用は司法書士の方が安くなる事が多いとされますが、それでも大きな違いではありません。費用対効果を考えると弁護士の方がいいという考え方もできます。
一概に費用の比較は難しいケースが多いかと思います。そうであれば弁護士に相談した方がいいというのが結論です。
いずれにしても、まずは、法律事務所に相談してみましょう。借金問題は1日でも早く行動した方が賢明です。
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