かつて、3台分の自動車ローンを組んでいる知人がいましたが、それと同じように、自動車ローンの支払いだけで生活が苦しい状況に陥っているケースは少なくないでしょう。
なにより、車の価格は、ここ数十年の間に数十万円から100万円ほど上がりましたからね…。現金で支払うのは非常に困難で、フルローンで購入するケースも増えているかと思います。
例えば、500万円の車を5年のフルローンで購入すると月々の支払いは9万円ほどに。
5年間で病気やケガ、倒産など、収入が下がる事があると一気に支払いが滞ってしまうかもしれません。
では、こういった自動車ローンの支払いが難しい場合には債務整理が有効になるのでしょうか?また、債務整理をした場合には車を残せるのでしょうか?
せっかく途中まで支払ったなら車を残したいところだけど…。それは難しいの?
車を残せるかどうかは、ローンの組み方によるんだけど、基本的には引き上げの対象になることが多いかな…。
途中まで支払っているということは考慮されないし、そもそも契約の段階でそういった内容になっていることが多いから拒否も難しい。
自動車ローンをどういった形で組んでいるかが分岐点
まず、自動車ローンを組んだ際にどういった形だったかを思い出してみましょう。
おそらく、多くの人が『ディーラーで組んでいる』かと思います。
これはディーラーローンと呼ばれるものですが、実際にはほとんどのケースでディーラー独自のローンを用意しているわけではなく、ディーラーが契約しているローン会社とローン契約を結ぶものです。
契約書を交わすのがディーラーなのに…?
ディーラーには審査に必要な用紙を記入して渡すけど、それを使って審査を行うのは契約先のローン会社なんだ。
おそらく、契約の段階で説明があったかと思うけど、忘れている人も多いかもしれないね。
こういったディーラーで組んでいるローンの特長として『審査が緩い』という点が挙げられるのですが、
その理由は、『金利が高いからローン会社の利益が大きい』と『所有者留保によって返済されない場合には車を引き上げ可能だから』という2つのリスク回避がされているからです。
まず、金利が高いほど審査が緩いというのはお金を借りる仕組みの真理。
消費者金融やクレジットカードなどは、審査が非常に緩っくなっており返済されないケースも多いのですが、それでも金利が高く利益率が高い仕組みとなっているため、トータルでは儲かるようになっています。
自動車ローンに関しても、ディーラーで組むローンは金利が高い事も多く、審査は緩い傾向に。
そして、もう一点の『所有権留保』という部分が自動車ローンを債務整理する場合の最大のネックになってきます。
具体的な仕組みは以下の通り、
ローンの支払途中であっても購入者が車を使えるのは当然のことですが、実は、ディーラーでローンを組んだ場合には、ローンを支払い終えるまで所有者はローン会社という扱いになっています。
そして、支払いがされないと決まると、ローン会社は会社の所有物である車を引き上げて、売却、そこで得たお金をローンの残りに充てます。
これが所有権留保という仕組みで、自動車ローンの審査に通りやすい最大の要因。そして、ローン会社の最大のリスク回避となっています。
そのため、ディーラーでローンを組んでいる場合で債務整理をすると、車をローン会社に引き渡す事になると考えて下さい。これまでどの程度支払いを終えているか、という点も基本的に考慮されません。
実際に、所有者がどうなっているかは、車検証の所有者欄を確認してみましょう。
銀行で自動車ローンを組んでいる場合は引き上げにならない
自動車ローンは基本的にディーラーで組むケースが多いのですが、金利が低いといったメリットがあるため銀行で組む場合もあります。
もし、それに該当する場合は、ディーラーローンと異なり所有権留保となっていない場合が多く、債務整理をしても車を引き上げられる事はありません。
銀行は、ローン会社と異なり、保証会社を入れる事でリスク回避をしています。
もし、支払いがされない場合には、保証会社が残りのお金を銀行に支払う代位弁済が行われ、その後は、保証会社によって取り立てがされることになります。
よって、債務整理先も保証会社になることが多いです
こちらに関しても、まずは車検証の所有者欄で確認してみましょう。所有者欄にあなた自身の名前が記載されている場合は所有者留保とはなっておらず引き上げられる事はありません。
自動車ローンの任意整理は可能?
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類がありますが、その中で最も効力が弱く、その分、デメリットの少ない任意整理は自動車ローンに有効になるのでしょうか?
これに関しては、“基本的に自動車ローンに任意整理が利用される事はない”というのが答えになります。
任意整理の効力は、利息や遅延損害金をカットして返済期間を3〜5年に見直すというものですが、
ディーラーローンの金利が高いとはいっても、消費者金融やクレジットカードほどの水準ではありませんので、利息のカット程度ではそこまで返済金額が変わらない事が多くなっています。
そして、それだけの効果のために車を引き上げられるのはデメリットが大きすぎます。
車を必要としない場合は、車の売却価格に応じて残りの借金が相殺されるので金銭的メリットが大きく、一定の意味があるかもしれませんが、それなら最初から車を売却してローンを前倒しで返済した方がいいでしょう。
効力の弱い任意整理でもブラックリストになってしまうので、それなりのデメリットがあります。
自動車ローンに対して任意整理が使えるのか、という情報があまりネット上にありませんが、基本的に使われる事がないのが要因でしょう。
個人再生や自己破産の効果は大きい
では、任意整理以外の債務整理、個人再生や自己破産は有効か?
こちらに関しては、有効です。
そもそも、個人再生や自己破産は借金を選んで整理するという事ができないので、これらを利用した場合には、自動車ローンも強制的に債務整理されてしまいます。
※任意整理は借金を選んで整理できる
※個人再生は住宅ローンのみ特則で除外可能⇒詳しく確認
まず、個人再生の仕組みは、借金の総額と財産の価値によって返済額が変動するという仕組みです。
①100万円未満…もともとの借金を全て返済
②100万円以上〜500万円以下…100万円を返済
③500万円超〜1,500万円以下…5分の1を返済
④1,500万円超〜3,000万円以下…300万円を返済
⑤3,000万円超…5,000万円以下…10分の1を返済
⑥5,000万円超…個人再生の利用不可
まず、借金の総額に応じてこれらの最低弁済額が決まります。
そして、価値のある財産を換価して清算価値を出し、最低弁済額と比較していずれか高額な方が手続き後の返済額として決定します。
※換価…売った場合の価値、実際に売る必要はない
返済期間は基本的に3年間ですが、難しい場合には2年間の延長が可能になる事が多くなっています。
次に自己破産の効力は、全ての借金が免責になり返済の必要がなくなるというもの。
当然、債務整理の中で最も効力が強く、借金が返済できない場合の最終手段のような位置づけです。
借金が全てなくなるという効力からデメリットも非常に大きくなっており、価値のある財産は換価処分により手放さなくてはなりません。
具体的には、一定額以上の現金や預金、土地や家、有価証券、車、返戻金のある保険などは処分の対象。⇒換価処分をさらに詳しく確認
自己破産の場合は、自動車を残せるかどうか以前の問題かもしれませんね。ローンの残っていない古い価値のない車は残せますが、そうでない場合はローンがなくても処分の対象。もちろん、銀行の自動車ローンを組んでいる場合も処分の対象です。
換価処分で得られたお金は、債権額に応じて債権者に平等に分配される仕組みとなっています。
以上のように、個人再生や自己破産は自動車ローンにも有効ですが、基本的にそれ以外の借金も抱えている場合に利用する方法です。
まとめ
以上のように、任意整理は有効とならない場合が多く、個人再生や自己破産は、自動車ローン以外の借金もある場合に利用される手段となります。
そのため、自動車ローンは苦しくても返済するか、もしくは、売って返済をし、その上で収入にあった車に乗り替えるといった事が有効になるケースが多いでしょう。
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