「借金の返済が全く追いつかない…」
人によっては利息で増える借金の額が返済を上回っているといった事もあるでしょう。
そういった時に必要になるのが『債務整理』です。
今回は、債務整理の中でも、借金を全額免責にする最も効力の大きい『自己破産』について詳しく解説します。
債務整理の種類と内容
債務整理を大きく分けると3種類。
これらのものがあります。
基本的には、「どれかを選択する」という事ではなく、借金の状況に応じて弁護士や司法書士と話し合い、「適したものが選択される」という流れになります。
そして、借金の返済額が減る債務整理ほど(任意整理<個人再生<自己破産)効力が大きい分、デメリットも大きくなっています。(メリット・デメリットは後述で解説)
これを聞くと「自己破産はリスクが高そう…」という印象を受けますが、自己破産から生活を立て直し、人生の再スタートに成功している人も多くいます。
先日、テレビにでていた会社社長も過去には自己破産の経験をしているとの事でした。挽回はいくらでも可能です。
督促や取り立てで悩んでいる人も法律事務所に相談
現在、借金で困っている人の中には、借金の督促や取り立てで日々疲れ果てている人も多いことでしょう。
債務整理は、法律事務所で弁護士や司法書士に受任してもらい手続きを進める事になりますが、この受任という行程を経た地点で、債権者(消費者金融やカードローン会社など)にその旨が伝えられるので、催促や取り立てが止まります。
1人で悩んでいても追い込まれてしまいますので、早めの相談が必要です。
自己破産のメリットを詳しく解説
借金がゼロになりリスタートが可能
自己破産の最大の特徴は借金がゼロになるという事。
※ただし、税金や社会保険料は支払う必要がある
レイクやアイフル、アコムなど消費者金融はもちろんのこと、銀行系ローン、住宅ローン、カーローンなども全て免除の対象です。
個人再生の場合は、住宅ローンを除外して圧縮可能
自己破産の場合は、全ての借金が対象で、選択はできない
また、友人などへの個人的にしている借金も免除の対象となりますし、クレジットカードのリボ払いなども支払いが免除されます。
まさに、借金を無い状態にしてリスタートを切れる方法となっています。
免責不許可事由に注意
自己破産は基本的に全ての借金がチャラになる手段ですが、免責不許可事由というものがあり、それに該当する場合は、免責(借金の免除)の対象にならない可能性があります。
【免責不許可事由】破産法252条
- 浪費
- 賭博その他の射幸行為
これらに該当する場合は、免責の対象から除外される
浪費は、自分の収入以上の飲み代を使ったり買い物をした場合に対象となります。
賭博その他の射幸行為は、競馬やパチンコなどが対象です。
ただし、裁判官は、免責不許可事由でも自身の裁量によって免責にする『裁量免責』の権限を持っており、余程悪質でない限りは免責となります。
あくまでも総合の統計数値ではありますが、免責が不許可となるのは0.8%ほどの例で、残りの99%は免責となっています。
引用:多重債務者対策本部
こういった事から考えると、免責不許可事由に該当した場合でも、多くのケースで免責になるはずですが、100%免責になるわけではないという事も理解しておきましょう。
※過去にも債務整理をしている場合などは悪質と判断され免責にならない可能性が高まります。
最低限のお金を残せる
自己破産をして借金が免除になっても手元にお金がない場合は再び生活苦になってしまいますね…。
こういった事のないように最低限必要とされるお金は手元に残す事が認められています。
金額は、
- 現金だと100万円ほど
- 銀行預金だと20万円ほど
債務整理の中ではもっとも効力の大きい方法ですが、それでもリスタートに必要な資金は手元に残せるという事です。
自己破産のデメリット
家を失う事になる
借金が全額免責となる自己破産では、財産は基本的に処分する事になるので家も手放さなくてはなりません。
これは、ローンを組んでいて債務整理の対象になっている場合だけでなく、ローンを組んでいない場合やローンを払い終えている場合も処分の対象です。
処分方法は、任意売却か競売となりますが、いずれの方法を選択したとしても、そこで得たお金は債権者の債権額に応じて分配される事になります。
競売では相場より低い価格で買い取られる可能性が高いので、債権者の事を考えると、任意売却で売る事が望ましいとされています。
任意売却とは自己破産をする前に売却する方法です。借金を1円でも多く返済できるようにしたいところです。
※弁護士や司法書士と相談して進めることになります。
任意整理は、債務整理の対象を選択可能で住宅も残す事が可能。個人再生も、住宅ローン特則があり、住宅ローンを除外して整理可能で、ローンがある場合もない場合も住宅を残せる。
自己破産は、効力が大きいためデメリットもあると冒頭で説明しましたが、家に関する決まりもその一つで、家を残して自己破産をする事はできません。
価値のある財産を失う事になる
自己破産では、時価20万円以上の価値があるものも処分対象です。
例えば、
- 車の時価が20万円以上なら、ローンがなくても処分の対象(ローンが残っている場合は、所有権が信託会社になっている事が多く、この場合は時価20万円以下でも信託会社に引き取られる)
- 有価証券
- 生命保険の返戻金
20万円以上の価値があるこれらの物は全て手放さなくてはなりません。
「冷蔵庫や洗濯機など電化製品も全て持っていかれるのでは?」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、生活に最低限必要とされるものは処分の対象外となるため、これらのものは手元に残す事が可能です。
また、パソコンなども基本的に生活に必要なものとされるので対象外となるケースが多くなっています。
その他にも、子供のおもちゃやゲームなども基本的に対象外となります。
連帯保証人に借金の返済義務が生じる
連帯保証人を立てている借金については、自己破産をした場合、連帯保証人に借金の請求がされる事になります。
任意整理では、連帯保証人を立てている借金を整理の対象から外す事も可能ですが、自己破産ではそういった選択肢もありません。
また、家などを売却したお金も、特定の借金に充てがうという事ができないようになっており、全ての債権者の債権額に応じて平等に分配されます。
そのため、自己破産をした場合は連帯保証人への迷惑は基本的に避けられません。
どの程度の影響が出るのかは、弁護士などの専門家と事前に相談し確認しておきましょう。
そして、連帯保証人には事前にその旨を伝えしっかりと謝罪をするなど最低限の対処はしておきたいところです。場合によっては、影響の比較的少ない任意整理などを連帯保証人もする事になるかもしれません。
信用情報に事故情報が残る
これは、自己破産だけでなく任意整理や個人再生でも同じですが、債務整理をした場合は、信用情報に事故情報が残る事になります。
借金の返済ができなかった人は再び借金の返済ができなくなってしまう可能性が高いとされ、銀行などの金融機関はその情報を基に融資やローンをしない判断をします。
また、クレジットカード会社も信用情報を利用して審査するので、カードを作る事も基本的にできません。
ただし、これらが出来ない期間は5〜10年ほどで、その後はローンも組めますし、カードも作れるようになります。
それぞれの信用情報機関の対応(事故情報が消えるまでの期間)
- 全国銀行個人情報センター・・・決定日から10年
- CIC・・・取引終了から5年
- JICC・・・発生日から5年
5〜10年と幅が広い理由は、『どの信用情報で判断をするか』によって変わってくるからです。
最長では10年となっています。
自己破産の流れ
ステップ1 法律事務所に相談
まずは、借金問題のプロフェッショナルである弁護士や司法書士に相談をします。
最初は電話やメールで問い合わせてみましょう。その後、実際に法律事務所で相談をする事になります。
多くの法律事務所では相談料が無料となっています。まずは、相談だけでもしてみましょう。
ステップ2 債務整理を受任
法律事務所で相談をすると、債務の状況によって適した債務整理をする流れとなります。
- 元金の返済が可能・・・任意整理
- 一部返済可能・・・個人再生
- 返済が難しい・・・自己破産
債務整理が受任されるとその旨が債権者(消費者金融など)に伝えられるので、その地点で、督促や取り立ては止まる事になります。
ステップ3 自己破産の申し立て書類の作成〜申立
自己破産では多くの書類を用意する事になりますが、基本的に弁護士と一緒に進められるのでそこまで戸惑う事もありません。
- 陳述書
- 家計状況
- 財産目録
- 債権者の一覧
- 免責許可申立書
- 保険証書
- 通帳のコピー
- 収入を証明する書類(源泉徴収票など)
- 生活保護を受けている場合は生活保護受給証明書
申し立ては、債務者の住所地を所管している地方裁判所で行います。
※弁護士なしでも可能ですが、書類の準備などさまざまな面で個人で行うのは難しい作業です。
ステップ4 自己破産で免責が認められる
前項の通り、どんな事情で借金をしていても、ほとんどのケースで借金が全額免除となります。
その旨は、『官報』という情報誌で告示されますが、一般の人が読むものではないので安心して下さい。
以上が、基本的な自己破産の流れとなります。弁護士を通して手続きをする場合は、そこまで手間となる作業ではありません。
弁護士など、自己破産にかかる費用は?
自己破産でかかる費用は、まず弁護士(司法書士)費用で、
金額の差が大きいのですが、法律事務所によって料金が全く異なっています。
裁判所に必要な費用は、
予納金・・・約1万円
収入印紙・・・1,500円
郵便切手・・・数千円
※裁判所によって費用に若干の違いがある
裁判所費用は実費で支払う場合と、弁護士費用に含まれている場合があります。
※弁護士費用に含まれる場合はその分弁護士費用が高く設定される
また、自己破産をする人がお金を持っていない事は理解した上で仕事を受け持つので、ほとんどの法律事務所では後払いや分割払いを認めています。
中には、月々5,000円の支払いで済む事務所もありますので無理のない支払いができるでしょう。
会社にバレるリスクは?
自己破産が会社にバレると、クビになる事はないとしても少し気まずいものがありますね…。
しかし、基本的に自己破産は会社にバレる事はありませんので安心して下さい。
裁判所から会社に連絡がいく事はありませんし、債権者から会社に連絡をすることもまずないでしょう。※任意整理は裁判所を通さないので第三者に知られる心配がより少ない
前項にあるように『官報』には告示されますが、これを目にする人はまず居ないはずです。
ただし、注意点として、会社から借金をしている場合は、それも自己破産で債務整理される対象となるのでこのケースではバレてしまいます。※自己破産では債務整理の対象を選択できない
結論を言うと、会社から借金をしているケース以外は基本的にバレる事はありません。
まずは相談をしてみよう!
『借金は時間との勝負』という事が言われますが、実際、「もっと早めに相談しておけば良かった…」と後悔してしまう人は少なくありません。
自己破産を検討していた人でも、過払い金請求によって個人再生や任意整理で済む事もあります。
その場合は、家を残せるという大きなメリットがありますね。
どうにもならない金額の借金をしている場合や、利息の支払いも厳しいから借金が減らない、という場合は1人で解決する事はまずできません。
まずは、法律事務所に相談してみましょう。
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