「個人再生の成功率はどれぐらいですか?」
という質問をされる機会が多々あります。確かに、個人再生を利用する上で成功率がどの程度なのかは、非常に気になる部分ですね。
ですが、個人再生の成功率に関しては明確なデータが発表されていません。
また、成功のハードルをどこに置くかによっても状況は異なります。再生計画の認可がされ返済が始まるのが成功なのか、それとも、返済が終了するのが成功なのか。
しかし、いずれにしても個人再生の成功率は非常に高いと考えておいて問題ないでしょう。おそらく、8〜9割ほどの人は返済を含めて成功するかと思われます。
具体的にどういった理由で個人再生の成功率が高いのか、また失敗するとしたらどういった理由なのか、今回は、個人再生開始から終了までの流れに沿って無事成功させる方法について確認してみましょう。
個人再生の成功率って高いんだねー。個人再生後の返済は3年だよね?その間に返済できなくなる人も多そうだけど。
個人再生は、大幅に借金が減額されることが多いし、万が一、返済できなかった場合にも救済措置が用意されているよ。
あと、借金の理由も関係しないし、個人再生に反対している企業があっても条件を満たせばその借金も含めて整理可能。
個人再生成功にかなり有利な条件が揃っているんだ。
個人再生の3つの利用条件を満たさないと利用できない
個人再生を利用できる条件は、
- 借金が5,000万円以下であること
- 個人の債務者であること
- 断続的に収入が見込めること
以上の3点です。これらの条件を満たしているのであれば基本的に不認可になる心配はありません。
まず、『1』に関しては、5,000万円以上の借金をしている人はまずいないかと思いますので、問題ないかと思います。(もし、5,000万円を超える借金がある場合は、自己破産を検討しましょう)
『2』に関しても、法人の債務ではなく、個人の借金なのかという部分ですので、おそらく問題無いでしょう(もし、法人であれば民事再生を利用しましょう)。
そして、おそらく問題になる可能性があるとすれば、『3』の断続的に収入があるのかという部分かと思います。
断続的な収入には具体的な数字がありませんが、無職で収入が全く無い状態では絶対に認められません。
収入の目安になるのは、生活に必要なお金を支払っても、個人再生後の返済が可能かどうかという部分。
もし、生活だけでいっぱいいっぱいの場合は認可が難しくなってしまうかもしれません。
ですが、その一方で、
- 実家に暮らしている
- 配偶者に十分な収入がある
- 親の支援を受けられる
これらの状況にある場合は、それも考慮され、数万円程度などの低収入であっても認可される可能性があります(あくまでも無収入はNG⇒詳しく確認)。
結局のところ、収入の大きさではなく、個人再生後に返済可能かどうかという部分を改めて考えてみて下さい。
債権者の意思によって不認可になる可能性とは
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生がありますが、小規模個人再生では書面によって、債権者の決議が行われます。
そして、債権額にして半分以上の反対がある場合には、小規模個人再生が認められません。
一方、給与所得者等再生は決議がないので債権者が反対しても個人再生が可能です。ただし、給与所得者等再生には先ほどの3つの条件に『安定した収入』が加わります。
安定した収入の目安は、過去2年間の収入変動が20%以内とされる事が多く、正社員でないと難しいかもしれません。
しかし、その一方で借金の減額は小規模個人再生の方が大きくなります。そのため、給与所得者等再生を利用できる人でも最初に小規模個人再生の申立から行うことになるでしょう。
とはいっても、個人の再生計画で積極的に反対をする企業は多くありませんので、多くの場合は小規模個人再生が認められる事になるでしょう。
ですので、給料が安定していない人でもそれほど心配する必要はありません。
借金はどれぐらい減る?減額が少ない場合には個人再生が利用できない
個人再生で重要なのは、借金がどの程度減額になるのか、そして、それを返済可能なのか、ということ。
個人再生の減額は、2つの基準によって決まります。
【最低弁済額】
500万円までの借金は100万円に、
1,500万円までの借金は5分の1に、
3,000万円までの借金は300万円に、
5,000万円までの借金は10分の1に。
個人再生は、住宅ローンのみ除外(全額免除されない例も多くある⇒詳しく確認)できますが、それ以外の再生債権の合計によって一つ目の減額幅が決まる。
【清算価値】
預金や車、有価証券、返戻金のある保険など、価値のあるものを換価し、その合計を清算価値とする。
※換価とは、売った場合の値段(実際に売る必要はない)
最低弁済額とは、個人再生をした場合に、最低限返済が必要な金額で、もし、清算価値が最低弁済額を上回る場合には、清算価値の金額だけ返済が必要になってきます。
資産が多いと返済額が増えるんだね。
そうなるね。
資産が多いのに借金だけを減額するのは債権者の立場からすると納得ができないからね。
持っている資産と同等の金額は最低でも返済するルールになっているんだ。
でも、自己破産と異なり資産を処分する必要がないからダメージは少なく済むよ。
最低弁済額に関しては予想が可能かと思いますが、清算価値に関しては、弁護士に相談し具体的な話しが進まないと分からない部分があるかと思います。
個人再生を利用する場合に、断続的な収入が第一のハードルとすると、個人再生後の返済額は第二のハードル。
もし、清算価値が高い場合には思うように借金が減額にならず、個人再生が利用できないかもしれません。
特に住宅ローンに頭金を多く入れている例などでは、残債より住宅の価値が上回ってしまい予想以上に清算価値が上がってしまうかもしれません(⇒具体的に確認)。
逆に、自信を持って、資産が少ないと考えられる人は、最低弁済額で済むケースが多くなるでしょう。
もし、最低弁済額で済むのなら借金は大幅に減額されることになり、再生計画決定後の返済もスムーズにいくはずです。
ここまでの項目は弁護士に相談した段階で概ね決まる
ここまでにいくつかハードルがありましたが、この段階では裁判所に申立をしていない事も多く、個人再生の可否は弁護士によって決まるケースが多くなります。
「収入が少ないし個人再生は難しいと思われます」
「清算価値が大きいから個人再生をしても借金がそこまで減らないと思われます」
など。
裁判所による判断
個人再生は裁判所の判断によっても不認可になる可能性がありますが、その理由になるのは収入が個人再生後の返済に十分でない時など限られた場面です。
ですが、弁護士に相談した上で個人再生の申立をしている場合では、その条件も基本的にクリアしているはずですので、裁判所の判断によって不認可になるという事はほとんどありません。
個人再生では借金の理由は関係ない
ギャンブルや浪費などで借金をしている場合、「個人再生が認められないのでは?」という不安がよぎるかもしれません。
しかし、個人再生では、借金の理由が一切問われないので、どんな理由であっても減額は可能です。
理由が確認されるのは自己破産の場合のみで、ギャンブルや浪費は免責不許可事由として自己破産が認められないかもしれません(実際には裁判官の裁量によって免責が認められるケースが多い⇒詳しく確認)。
よって、借金の理由は例え身勝手なものであっても問題ありません。
小規模個人再生の不認可
前項でも触れましたが、小規模個人再生を選択した場合には、書面によって債権者の決議が行われます。
決議に反対する債権者は少ないのですが、それでも債権額にして半分以上の反対が出ると小規模個人再生が認められないので、大口の債権者には事前に根回しをしておく必要があるかもしれません。
その点は、弁護士に相談しながら進めるようにしましょう。
仮に、一部の債権者が反対をしても賛成が半数以上占めていれば個人再生は認められる流れとなり、反対した債権者についても整理の対象となりますので、借金が減額されます。
履行テストを確実に行う
債務者に返済能力があるのか確認するために履行テストというものが行われます。
具体的には、半年間にわたって開設した振込口座に分割予納金を納めるというものです(地方の場合は別の形で積立金を支払う)。
これによって返済能力が確認され、もし分割予納金を納めることができないと再生計画の返済ができないと判断され、個人再生が認められません。
非常に重要な作業。ここまでの流れを無駄にしないためにも確実に納めるようにしましょう。
その後の返済も確実に
個人再生の成功は、裁判所に認可されるまでを指す事が多いのですが、実際には返済が終了した時が本当の成功です。
とはいっても、任意整理(無事返済ができる可能性は7割ほどとされる)より返済額が少ないので多くの人は最後まで返済ができるとされています。
もし、返済ができないと、債権者に異議申し立てをされる可能性があります。そして、それが認められると、個人再生は取り消されてしまうことに。
つまり、個人再生にかけたこれまでの時間と労力が無駄になってしまいます(借金は元の状態に戻る)。
再生計画に変更
個人再生では、
『計画当時、予想出来なかったことが起き返済が困難に(倒産など)』
といった理由がある場合に、返済計画の変更が認められるケースがあります。
変更内容は、返済期間が最大2年間延長するというもの。
当初の計画で3年だったものが、5年間になるという事です。
ハードシップ免責で残債をチャラに
さらに強力な手段として、
病気やケガ、リストラなどで収入が入ってこなくなった場合で、なおかつ、返済計画の変更が有効でない場合には、ハードシップ免責によって借金をチャラにできる可能性があります。
利用条件は、
- 返済が4分の3以上終わっている
- 自己破産をした場合に保証されている以上の金額が返済されている(再生債権者の利益に反さない)
大幅に減額された借金を3年で返済する個人再生を認めているわけですから、債権者としては、自己破産をした場合に得られたであろう金額を貰わないと納得できるわけもありません。
これを清算価値保証の原則といいます。
また、責めに帰すことができない事情も必要。責めに帰すとは故意や過失ではなくやむを得ない理由で返済できていない事を指します。
ギャンブルや浪費が返済できない理由である場合には認められないということです。
以上のような高いハードルから、ハードシップ免責が認められるのは年間でも数件程度。あまり現実的な方法とはならないかもしれませんね…。
まとめ
以上が、個人再生の成功条件と失敗する項目についてです。
一定の収入があり清算価値がそこまで高額でない場合には、まず、個人再生が成功すると考えられます
いずれにしても、この記事を読んでいる人の多くは既に借金問題で苦しんでいる状態かと思いますので、まずは、一歩踏み出す意味でも弁護士に相談してみるようにしましょう。
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